Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

日向文 「1ピース」

日向文さんは、北海道をベースに活動しているシンガーソングライターで、もう10年以上活動しているとのことなのでご存じの方も多いのかも。私は最近ネットで偶然見つけました。

最初にたどりついたのが、2月にリリースされたシングル「1ピース(いちピース)」。

日向文 「1ピース」 (single)

 

MVのアニメーションはイラストレーターの※|ocome さんによるものです。

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曲は、アコースティックギターの弾き語りに、ミニマムなリズムとバッキングが添えられたシンプルな構成になっていて、日向文さんの歌声が際立って聴こえてきます。リズムへの言葉の乗せ方が軽やかな感じですが、歌詞の内容は結構シリアスです。

この人の過去の曲をいくつか聴いてみた感じでは、基本的に弾き語りで、歌詞を聞く、感じるための音楽のような気がします。歌っている内容は「身近な人との距離感」がテーマになっていることが多いようで、その分トゲのあるワードも含まれていて、若干違和感を感じる部分もありますが、逆にそこは若い人たちには共感が得られる部分なのかも知れませんね。

 

一方、サウンド面で面白いと思ったのがヴォーカル処理で、地声に近いと思われる歌声とハイトーンのヴォーカルが重なって聴こえるつくりになっていて、これが思いのほかハマりました。

また、昨年12月のシングル「波よ、君の頬を」では、ミステリアスで浮遊感のある音響空間を作り出していて結構気に入っています。

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Pink Floyd 「The Final Cut」

Pink Floydの1983年のアルバム The Final Cut は、バンドのコンセプトメーカーだった Roger Waters の個人的体験、第二次大戦で戦死した父親への想いに基づくプライベート色の濃いアルバムで、かつ、キーボード奏者のRick Wrightも不在のレコーディングだったということで、ほぼWatersのソロアルバムと言えそうな内容であったため、発表当時は否定的な批評が多かった作品でした。

Pink Floyd / The Final Cut

 

でも私はこのアルバムは嫌いじゃなかったです。むしろ The Wall のほうがなじめない感じでした。

非常に内省的な歌詞が多くて、サウンドもロック的な部分が少ないのですが、Watersの分かりやすいメロディが当時まだ洋楽初心者の自分にはとっつきやすかったのかも知れません。また、効果音/SEをちりばめた構成(このアルバムの場合、ホロフォニックスという立体音響を使ったことも話題でした)もPink Floydっぽい部分でした。

ただ、やっぱりPink FloydにはDavid Gilmourのギターが欠かせないのも確かで、当時Watersと不仲だったGilmourはこのアルバムでは出番が少ないのですが、この人のギターソロが入ると一気にPink Floydらしくなります。

アルバムタイトル曲であるこの「The Final Cut」は、そんなDavid Gilmourの情感あふれるギターソロが印象的な曲です。

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Vangelis 「Main Theme from "Missing"」

Vangelisの作品は、1980年代中頃までのアナログシンセで曲を作っていた頃のものしか聴いていないので、好きな曲もそれらの作品群からしか選べないのですが、個人的に頭に浮かぶことが多いのがこの曲。1982年のアメリカ映画「ミッシング」のテーマ曲です。(ちなみにこの映画は観たことありません・・・)

この曲を知ったのは、1989年発表のVangelisが手掛けた映画音楽のコンピレーションアルバム Themes(邦題:ブレードランナー/ザ・ベリー・ベスト・オブ・ヴァンゲリス)で。元々映画「ブレードランナー」と「南極物語」のテーマ曲を聴きたくて買ったのですが、収録曲の中でこの曲が非常に印象に残りました。

Vangelis / Themes

 

シンプルながらも親しみやすく美しいメロディのエレクトリックピアノの演奏から始まり、徐々にVangelisお得意の温かい音色のシンセオーケストレーションで盛り上がっていく曲です。4分ほどの短い曲ですが、Vangelisの音楽の魅力が詰まっていると思います。

Vangelis - Missing (Opening Theme) - YouTube

 

Vangelisが亡くなったことを知った今日は、久しぶりにこのアルバムを改めて通しで聴いてみました。

Sally Oldfield 「A Million Light Years Away From Home」

Sally OldfieldはMike Oldfieldの6つ年上の姉で、シンガーソングライターとして1978年にアコースティックなフォーク調の作風のアルバム Waterbearer でソロデビューしました。Mike Oldfieldの初期の作品ではコーラスとして参加していますが、ソロでの作品でもふくよかで美しいヴォーカルを聴かせてくれています。

1980年代の後半からは活動拠点をイギリスからドイツに移してユーロポップ調の作品で人気があったようですが、このあたりは私はよく知りません・・・。

Sally Oldfieldのイギリスでの音楽活動の最後のアルバムとなったのが、1983年リリースの Strange Day In Berlin という作品。このタイトルからして、この時点ですでに視線はドイツにあったのかも知れないです。アルバムのプロデュースは、Sally本人とHans Zimmerの共同で行われていて、Zimmerはシンセサイザーを使ってアルバムの基礎となるサウンドを形作っています。おそらくこれ以降のユーロポップ路線の足掛かりとなったアルバムではないかと思います。

 

Sally Oldfield / Strange Day In Berlin

 

Sally Oldfieldが書く曲は少しクセがあって、好みが分かれるところがあると思いますが、このアルバムのSide 1(前半3曲)はどれも完成度が高く甲乙つけがたい曲と思っています。この「A Million Light Years Away From Home」はアルバムの1曲に収録された曲で、Hans Zimmerのスペーシーなシンセオーケストレーションにのせてドラマチックに歌う、別離した恋人への想いを綴った歌です。

YouTubeの動画オフィシャルのものではないですが、参考までに貼っておきます。

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ちなみにHans Zimmerは後に映画音楽の作曲家として数多くの有名作品の音楽を手掛けています。

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Mike Oldfield アルバム紹介 その8:Crises

アルバム Tubular Bells でのデビューから10年を迎えた1983年に、Mike Oldfieldがリリースしたアルバムがこの Crises です。

Mike Oldfield / Crises

 Crises

 Moonlight Shadow
 In High Places
 Foreign Affair
 Taurus 3
 Shadow On The Wall

前作 Five Miles Out と同様にSide 1に大作1曲、Side 2に小品を並べたスタイルのこのアルバムは、共同プロデューサーとしてロック・フュージョン界のセッションドラマーであるSimon Phillipsを迎えたことで、より洗練されたサウンドのアルバムとなりました。

サウンド面での変化としては、Phillipsのドラム以外では

  • ヴォコーダーの使用を止め、肉声のヴォーカルをフィーチャーするようになった。
  • Fairlight CMIが多用されるようになった。
  • 一部でバンドメンバーの参加はあるものの、Oldfield自身が演奏するパートが増えた。
  • ケルティックサウンドが控えめになった。

といったところが挙げられると思います。

Side 1で展開される21分の大作「Crises」は、いくつかのモチーフで構成される組曲形式になっていて、前作の「Taurus II」のような統一感にやや欠ける面はありますが、流れるような展開は聴いていて気持ちいいです。

最初に奏でられるフレーズは、Tubular Bells の導入部分の変奏となっていて、10周年ということが多分に意識したものだと思われます。このメロディは後半のクライマックス部にも現れますが、Tubular Bellsとは異なり、爽やかなメロディとなっており、この曲全体の色合いを与えています。

中間部ではハードロックを意識したアップテンポなエイトビートのパートがあり、ここではOldfield自身が歌っています。これは最初聴いたときはちょっと違和感がありましたが今では特に気にならないです。慣れですかねぇ。(ただし、この後のアルバムでは自身が歌うことはほとんど無いので、自己評価はいまいちだったのかも知れません)

この曲のクライマックスは13分ごろから始まります。ディレイのかかったシンセシーケンスにPhillipsのドラムが絡み、導入部のメロディが奏でられると徐々にドラムの手数が多くなり、Oldfieldの独特なエレクトリックギターサウンドとともに盛り上がっていく様は、Ommadawn Part 1のクライマックス部(アフリカンドラムのパート)に似た高揚感が得られます。なんといってもPhillipsのドラミングが圧倒的。最後はベルが1回鳴って締めくくられる至福の8分間です。

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Side 2の1曲目は、Oldfieldの歌モノでは一番有名な「Moonlight Shadow」です。この曲はシングルカットされ、イギリスをはじめとするヨーロッパでスマッシュヒットとなりました。この曲は、ギター、ベース、ドラム(それとFairlight CMI)からなるフォークロック調のサウンドにのせてMaggie Reillyが歌うポップで美しいな曲なのですが、間奏ではOldfieldらしい音色のギターソロを聴くことができます。また、アルバムジャケットのイラストと絶妙にリンクしてこのアルバムの核となる曲であることがわかります。

この曲はビデオクリップも制作されました。当時はMTVなどのビデオクリップを放送する番組が増えたことで、多くのアーティストがビデオを制作するようになっていましたが、この曲のビデオもその流行に沿った形で作られたようです。このビデオで初めてMaggie Reillyの顔を知ったという日本のファンも多かったのではないかと思います。

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続く2曲「In High Places」と「Foreign Affair」は、エレクトロポップを意識したようなサウンドの曲で、それぞれ Yes の Jon Anderson、Maggie Reillyがヴォーカルを務めています。いずれもFairlight CMIによるヴォイス系のパッドサウンドが印象的です。 特に「Foreign Affair」ではギターとベースすら使用されていません。

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前々作、前作から続くTaurusシリーズの曲「Taurus 3」は、Oldfieldのアコースティックの弦楽器とPhillipsのドラムによる多重録音によるインスト曲になっています。短い曲ですが、Oldfieldの卓越したギターテクニックを堪能することができます。

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最後の曲「Shadow On The Wall」は、当時のポーランド独裁政権による戒厳令下における人々に苦しみにインスパイアされた曲で、ヘヴィメタリックなサウンドにのせてRoger Chapmanの絞り出すようなヴォーカルが印象的な曲です。この曲もシングルカットされビデオクリップも作成されました。

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個人的には、このアルバムより前作 Five Miles Out のほうが好きなのですが、ヒット曲「Moonlight Shadow」を収録したアルバムということで、1980年代のOldfieldを紹介するには、まずはこの作品というのが妥当じゃないかと思います。

このアルバムとシングル「Moonlight Shadow」のヒットは、Oldfieldにとってはポップミュージックのフィールドで活躍できるという大きな自信が得られましたが、その一方で、レコード会社からの次のヒット曲を求めるプレッシャーが掛けられるというポップミュージシャンならではの事態に相対することになっていきます。

Ray Wilson 「Propaganda Man」

この曲は、Genesisのアルバム Calling All Stations にヴォーカルとして参加したことで知られる Ray Wilson が2009年にリリースしたソロアルバム Propaganda Man のタイトルトラックです。

Ray Wilson / Propaganda Man

 

この曲のMVが今年の4月にYouTubeで公開されています。

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Wilsonのコメントには、「この曲はプロパガンダの破壊性と真実の重要性についての曲だ。」と書かれています。10年以上前の曲のMVを今制作して公開する理由はもちろん、ロシアのウクライナ侵攻へのリアクションだと思います。(MVには"nowar"のハッシュタグもあり)

ちょっと調べてみたところ、この曲が書かれた2008年頃にも、ロシアによるグルジア(現ジョージア)への侵攻(なんと北京オリンピックの期間中に行われた)という事件があり、この曲がこの事件に触発されたかものは定かではありませんが、ロシア近隣のヨーロッパの国々には常に緊張感が存在していることを改めて認識しました。

このMVの音源は、2016年にドイツのハンブルグで行われたライブバージョンで、2017に発表のライブアルバム Time & Distance に収録されているものですが、スタジオ録音バージョンと比べると長尺で、ライブ用に追加された、途中から始まるピアノソロに導かれてのギターソロが圧巻です。

一方スタジオ録音バージョンは、「Propaganda Man」と「More Propaganda」という2曲に分割されています。

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Roger Hodgson 「Give Me Love, Give Me Life」

Supertrampを脱退したRoger Hodgsonが1984年に発表したソロアルバム In The Eye of The Storm は、ドラム以外の大部分の楽器をHodgson自身が演奏して制作したアルバムで、楽曲的にも捨て曲無しの充実した作品群だと思っています。

Roger Hodgson / In The Eye of The Storm

中でも好きなのがこの曲「Give Me Love, Give Me Life」。演奏時間が約7分半とかなり長いのですが、Hodgsonらしいポップなメロディで聴きやすい曲です。

この曲は構成がユニークで、歌の中でサビ(コーラス)が3回現れるのですが、サビへつながるメロディが3回とも違っています。正確ではありませんがざっと構成を書くとこんな感じでしょうか。

A→A'→サビ→ブリッジ→B→B’→C→サビ→間奏→D→D’→間奏2→サビ

ありきたりな言い方をすれば1曲中に3曲分のアイディアが詰め込まれている感じで面白いですよ。ポップ密度が高いです。

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