Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

キーボードソロがある曲(その8):Renaissance 「Ocean Gypsy」

Renaissanceの作品の中では、名作として呼び声が高い1975年のアルバム Scheherazade and Other Stories 収録の曲「Ocesn Gypsy」。個人的にも好きな曲です。

Renaissance / Scheherazade and Other Stories

このアルバムをリリースした時期がRenaissanceの全盛期と云われています。この時期のバンドのキーボード奏者はJohn Tout。バンドの大部分の作曲を手掛けているのはギターのMichael Dunfordですが、サウンド面ではキーボード(特にピアノ)の占める部分が大きく、John Toutのクラシカルなフレーズのピアノが特徴的でした。

この曲「Ocean Gypsy」でのピアノソロは間奏部分3分15秒から5分10秒あたりまでで聴くことができます。

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ちなみに、YouTubeにアップされている1977年のライブ映像がありましたのでご参考まで。「Ocean Gypsy」は29分頃から始まります。ピアノソロの場面では、右手でピアノ、左手でストリングスキーボード(Solina Strings Emsenble)を弾いていますね。

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Mike Oldfield アルバム紹介 その10:The Killing Fields - Original Film Soundtrack

アルバム Discovery のレコーディングのためにスイスへ移住する前に、Oldfieldはすでに映画「The Killing Fields」のサウンドトラックの話を受けていて、曲の制作は進んでいたようです。

Mike Oldfield / The Killing Fields - Original Film Soundtrack

 Pran's Theme
 Requem For A City
 Evacuation
 Pran's Theme 2
 Capture
 Execution
 Bad News
 Pran's Departure
 Worksite
 The Year Zero
 Blood Sucking
 The Year Zero 2
 Pran's Escape / The Killing Fields
 The Trek
 The Boy's Burial / Pran Sees The Red Cross
 Good News
 Etude

 

曲数が多いので再生リストの形でYouTubeの音源を貼っておきます。

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収録曲は、Fairlight CMIをメイン楽器としてOldfield自身によって演奏されたものと、David Bedfordのアレンジによるオーケストラとクワイヤーによって演奏されたものの2種類が混在しています。当初は前者のみだったようですが、途中で映画制作サイドからオーケストラアレンジの曲が欲しいと言われたとのこと。それも、Oldfieldがスイスのスタジオでアルバム Discovery の収録曲を(機嫌よく?)レコーディングしている最中に突然ねじ込まれたような依頼だったらしく、おそらく渋々請け負った感じだったんだろうなと想像しています。

オーケストラアレンジの曲を作るために、Oldfieldは親交のあったDavid Bedfordをスイスのスタジオに呼び寄せて曲作りを行い、その後ドイツのミュンヘンへ移動して録音を行ったとのこと。アルバムのクレジットに "Recorded in England, Germany & Switzerland"とあるのはそういう事情かららしいです。

ただ、そういった事情があったといえども、アルバム全体として統一感が失われているということはないのは、過去にも共同作業を行ったことがあるお互い旧知の仲のBedfordとの共同作業によるところが大きいと思います。特に14曲目「The Trek」から最終曲「Etude」に至る流れは美しいメロディの連続で感動的です。(映画を観たせいかもしれませんが・・・)

「Etude」は映画のエンドロールで流れる曲ですが、直前にJohn Lennonの「Imagine」が使用されていて、この曲の印象のほうが強く、かなり損している曲です。スペインの作曲家 Francisco Tarrega のギター曲「アルハンブラの思い出」をFairlight CMIでアレンジした曲で、主旋律をパンパイプ風の音色で、伴奏をエスニックなパーカッション類で置き換えているのが当時は斬新に聴こえました。今聴いてもこのアレンジは素晴らしいと思います。

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Mike Oldfield アルバム紹介 その9:Discovery

Mike Oldfieldにとって1984年は自身のミュージシャン人生において一番忙しかった年だったと、アルバム Discovery のリイシュー盤のライナーノーツに記載されています。前年のアルバム Crises とシングル「Moonlight Shadow」の欧州での大ヒットを受け、各地でコンサートツアーを行い、終了後は新作の創作に着手するという、人気ロックアーティストのようなことをこの時期はやっていたようです。さらに、Virgin RecordsのRichard Bransonが、David Puttnamがプロデュースする映画「キリングフィールド」の音楽担当というオファーを持ってきたりということがあり、結果的に1984年にOldfieldは、本作 Discovery と映画「The Killing Fields」のサウンドトラックの2枚のアルバムをリリースすることになりました。

本作のレコーディングは前作までのイギリスの自宅スタジオではなく、スイスのウインターリゾート地であるオロン(Villars-sur-Ollon)にスタジオ兼自宅?を設営して行われました。イギリスの税金対策だったという話もありますが、移住してスタジオを新たに作るというのはよっぽど金持ちだったんだなぁと思います。ま、それはさておき・・・

 

Mike Oldfield / Discovery

 To France
 Poison Arrows
 Crystal Gazing
 Tricks of The Light
 Discovery

 Talk About Your Life
 Saved By A Bell
 The Lake

収録された8曲中7曲がヴォーカル曲ということで、前作でのシングルヒットで本人も気を良くしたか、レコード会社のプレッシャーがあったか、その両方のような気もしますが、Oldfield初めての歌モノメインのアルバムとなりました。

参加ミュージシャンは、前作でも絶大な存在感をみせたドラマーのSimon Phillipsと2人のシンガー、Maggie ReillyとBarry Palmer のみで、前作までのような多くのセッションミュージシャンを起用することは止めています。たぶん、Oldfield自身はバンドスタイルでの活動は苦手だったんだろうなと想像しています。(他のメンバーを上手く調整するのが嫌いなタイプ?)

一方でSimon Phillipsには絶大な信頼を寄せていたようで、本作でもプロデュースとエンジニアリングを共同で行っています。

 

収録曲についてですが、アナログレコードのSide 1にあたる1曲目「To France」から5曲目「Discovery」までがシームレスにつながって、まるで全体で1曲のような雰囲気を持っています。個人的にはぜひ通しで聴いてもらうことをおススメします。3曲目、4曲目、5曲目はいずれもスネアドラムから始まりますが、前の曲の終わり部分とのタイミングが絶妙、というところがポイントですかね。

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1曲目「To France」と3曲目「Crystal Gazing」はMaggie Reillyが、2曲目「Poison Arrows」と5曲目「Discovery」はBarry Palmerがそれぞれリードヴォーカルを担当、4曲目「Trickes Of The Light」はReillyとPalmerが分担してヴォーカルを担当しています。2人が一緒にレコーディングすることはなく、別々に録音したトラックをOldfieldがミックスしたもののようです。

1曲目の「To France」はヨーロッパで大ヒットした曲で、「Moonlight Shadow」に次いで有名なOldfieldの歌モノです。ギターとドラムとフェアライトCMIだけで作ったと思われるサウンドで、フェアライトCMI独特の曇ったようなサウンドが、ヨーロッパの深い森に迷い込んだような幻想的な曲となっています。

2曲目「Poison Arrows」も1曲目の雰囲気を引き継いだようなサウンド

3曲目「Crystal Gazing」では2曲目で使用されたシンセベースを引き継いでいます。

4曲目「Tricks of The Light」は一転明るめなロックンロールナンバー。間奏部のギターソロがなんかほのぼのしていて楽しげです。

Side 1 最後の「Discovery」は重厚なヘヴィメタリックな曲。ここでのOldfieldのギターソロは掛け値無くカッコイイです。

 

Side 2の1曲目「Talk About Your Life」はReillyの美しいヴォーカルが堪能できるナンバー。曲中「To France」のフレーズが再度現れます。

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続く「Saved By A Bell」はPalmerが歌い上げるドラマチックな曲。

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アルバム最後の曲「The Lake」はインストルメンタル。Oldfieldのスイス滞在中のスキートレッキングの体験を基にした曲らしいです。この"The Lake"というのは、レコーディングスタジオから見渡すことができたジュネーブ湖(レマン湖)のこと。

この曲でもフェアライトCMIのサウンドの印象が強いですが、ヴォーカル曲では控えめだったOldfieldのギターもしっかり主張していて、聴きごたえ十分です。雪山を滑走しながら、そして時々立ち止まりながらスキーをしている風景を想像しながら聴くといいかもしれません。

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冒頭にも書いたように、Oldfieldはこの年、映画「The Killing Fields」のサウンドトラックアルバムもリリースしましたが、これについてはまた次回。

DTMの記憶を辿る-その1

今回はちょっと趣向を変えて。

昔、DTM(あくまで趣味レベル)をやっていた時期がありました。今でも自分のPCにはDAWソフトやVSTインストルメントやらがインストールされていますが、時間が無くて使うことはほとんどないです。たまに、過去に作った楽曲データを最新の音源でアップデートしたいと思ってソフトを起動させると、アクティベーションのパスワードを入力しないといけなくてあたふたしてる、そんな状況で、DTMについて役立つことは何も書けませんが、備忘録を兼ねて記憶を辿ってみます。

 

私がDTMを始めるために最初に買った機材は、RolandのD-10というシンセサイザー(現在は処分して手元にありません)。名機として知られるD-50のエントリーモデル的な位置づけの機種で、いろいろと機能的には劣っているのですが、当時鍵盤付きのシンセではなかった8トラックのマルチティンバー(異なる音色が8種類同時に出せる)の機能があるということで、コイツを買おうと思ったわけです。価格的にはD-50の半分くらいの値段なのですが、当時(1990年頃)の私的には、自分の趣味の為に買った「人生で一番高い買い物」でした。(一応はてなブログ今週のお題に掛けています)

 

D-10は、音色を加工するためのツマミやスライダーは装備されておらず、ボタンと数値設定用のスライダーしか付いてなかったので、音色を加工するのは非常に面倒だったように覚えています(昔のデジタルシンセって総じてそんな感じだったような気もしますが)。ただ、音色の加工プロセスについてはアナログシンセに近い考え方で作られていたので、勉強にはなりました。

サウンドという意味では、いわゆるハイブリッド音源で(LA音源という呼称だった)、PCMの音素片とアナログのオシレーターをミックスさせて音色を作るタイプで、純粋なデジタルシンセではありませんでした(D-50も同じ方式)。それでもこのPCMの部分のおかげでリアルな楽器音が鳴っているなあと当時は思ったものです。全般的なイメージとしては、この後Rolandが発表するDTM用音源(SoundCanvas)に近いすっきりとした音色だったと思います。ある意味値段相応で、シンセらしいポルタメントもかけられなかったと記憶しています。

 

このシンセのマルチティンバー機能を使うにはMIDIシーケンサーが必要でした。RolandのD-10と同時に発売されたD-20というシーケンサー付きのモデルもありましたが、操作性が悪そうだったので単体のMIDIシーケンサーを買おうとして選んだのが、こちらのKAWAI Q-80でした。

この2台を使ってちまちま打ち込みを始めたのですが、自分は鍵盤も素人でコードもろくに知らない(今もですが)のでまともなものは作れなかったと思います。(雑誌に掲載された譜面をたよりにヴァンゲリスブレードランナーのテーマのさわり部分を打ち込んだ記憶だけは残っています・・・)

ということで、ほぼ挫折しかかった状況ではあったのですが、PCのOSとしてWindowsが出てきて、PC自体が入手しやすくなり、それとともにDTM用のシーケンスソフトも出回るようになってくると、また状況が変わってくることになります。

 

ということで今回はこのへんで。続きはまた気が向いたときにでも。

MUSEMENT 「ぼくらが歌をうたう理由 feat. 野見山睦未 & 鈴木祥子」

矢部浩志さんのソロプロジェクト MUSEMENTの2016年のアルバム Musement Fair 、このアルバムを買った理由は、Local Bus のヴォーカルの野見山睦未さんがアルバム中5曲にヴォーカルで参加していたからです。

MUSEMENT / Musement Fair

Musement Fair

Musement Fair

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アルバム1曲目の「ぼくらが歌をうたう理由」は、野見山睦未と鈴木祥子の2人をフィーチャーした曲。1コーラス目は野見山さん、2コーラス目は鈴木さんがリードヴォーカルを担当しています。上記のiTunesの試聴では1コーラス目の終盤から始まるので野見山さんのヴォーカルパートがあまり聴けませんが、YouTubeに音源が無かったので残念。野見山さんのやわらかで少し霞んだようなヴォーカルと鈴木さんの輪郭のはっきりしたヴォーカルがいい対比になっています。

 

ちなみに、このアルバムで野見山睦未さんをフィーチャーしている曲のうち、10曲目はFleetwood Macのカバー。原曲はアコースティックな曲ですが、エレクトロポップ風のアレンジになっているところが面白いです。また、12曲目に収録されているのは、以前バージョン違いを紹介したParry作曲の「Jerusalem」ですね。こちらに書くのをうっかり忘れてました・・・。

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KOKIA 「愛のメロディー」

そういえばKOKIAさんも「Moonlight Shadow」をカバーしていました。2002年のシングル「人間なんてそんなものね」のC/W曲で、後にカバー曲のコンピレーションアルバム  Musique a la Carte に収録されています。

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オルタナ風のアレンジでこれもいい感じですね。

 

KOKIAさんの最大のヒット曲は、CMソングにもなった2003年の「The Power of Smile」ですが、私が一番好きなKOKIAさんの曲はこの「愛のメロディー」でしょうか。2006年公開のアニメ映画「銀色の髪のアギト」のエンディングテーマとして制作された曲です。(映画は観たことないです・・・)

KOKIAさんのアルバムでは、2006年のベストアルバム Pearl にOriginal Ver.が、2012年のコンピレーションアルバム 心ばかり にはSoundtrack Ver.が収録されています。ここでは前者のほうを。映画の主題歌らしい壮大でダイナミックなアレンジのラブソングです。

KOKIA / Pearl ~ The Best Collection ~

 

作詞・作曲とコーラスアレンジはKOKIAによるもの。KOKIAさんといえば美しいヴォーカルと変幻自在のコーラスワークが特徴で、この曲でもその魅力がが十分に聴くことができます。特にサビの部分のメロディーの上下に絡みつくようなハモリのパートが聴いていて気持ちいいです。間奏部のエキゾチックなチャント風のコーラスもKOKIAさんならではですね。

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CAPRICE 「花鳥(つばめ)」

YouTubeで偶然出会ったお気に入りの曲です。

CAPRICEは、関西で活動しているアコースティックデュオで、この曲「花鳥(つばめ)」は2020年に発表されたフルアルバム Ode に収録されています。

CAPRICE / Ode

ギターとヴォーカルの林愛果さんは、ソロのシンガーソングライターとしても活動していて、2022年にはアルバム Period. を発表していて、こちらはシンプルなバンドサウンドなのですが、このCAPRICEでは、ヴァイオリン奏者の 川瀬麻日香さんとのデュオということで、ヴァイオリンをフィーチャーしたサウンドになっていて、アンビエントアイリッシュその他の音楽要素をちりばめたサウンドを作り上げています。

MVは、アルバム1曲目のインスト曲「Reminiscence」と2曲目「花鳥」から構成されています。(「花鳥」は2分頃から)

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ゆったりしたリズムの美しいメロディの曲ですが、間奏ではクラシカルなヴァイオリンソロが入ったり、6/8拍子の中に一部5/8拍子が入ったりと面白い構成で、アーティスティックな感触が強いです。

アルバムもサブスク配信されているので聴いてみましたが、こちらも叙情的だけど構成がユニークな曲が多いと思いました。基本、歌モノなんですがニューエイジ系の音楽を聴いているような気分にもなるアルバムです。

 

ちなみに、YouTubeにはマイク・オールドフィールドのこの曲のカバーもアップされてました!

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