Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

Steve Hackett 「Hoping Love Will Last」

Genesisのアルバム Wind and Wuthering リリース後、バンドを脱退したギタリストの Steve Hackett が翌年 1978年に発表したソロアルバム Please Don't Touch ! は、ゲストヴォーカリストとして、KansasのSteve Walsh、Richie Havens、Randy Crawford といったアメリカのミュージシャンが参加して制作された意欲作といえる作品です。

Steve Hackett / Please Don't Touch !

特にこの美しいメロディを持つ「Hoping Love Will Last」は、Randy Crawfordのソウルフルな歌と、シンフォニックな香りがする少し翳りのあるブリティッシュプログレ風の演奏のバランスが面白い曲です。間奏部のアタックを消したロングトーンのHackettのギターにメロトロンが被さるところはいかにもブリティッシュといった感じなんですが、そこにさらにCrawfordのヴォーカルが乗ってくるところは違和感がありつつも絶妙です。

 

ただ、この曲から始まるアルバムのSide 2の5曲はシームレスでつながっていて、この曲を単独で聴きたいというときに少し難ありなんです。でもちょうどいいことに The Unaouthorised Biography という彼のベストアルバムでは、次の曲「Land of a Thousand Autumns」の最初の部分に少し食い込んでフェードアウトする編集が行われていて、単独で聴くにはこのバージョンがいいと思います。

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Genesis 「Your Own Special Way」

Genesisの1977年のアルバム Wind And Wuthering に収録された曲の中で一番フツウの曲がこの「Your Own Special Way」。作曲はMike Rutherford。フツウというのは言い方が悪いかもしれませんが、Tony Banksのシンフォニックなカラーが支配的なこのアルバムの中ではちょっと浮いています。

でも曲としては決して悪くないと思います。Rutherfordのアコースティックギターを中心とした美しいメロディで私としては好きな曲です。ただ、当時のGenesisにしてはポップすぎるのが「浮いている」ように思えるのかもしれません。

Mike Rutherfordは1980年代にソロプロジェクト Mike & The Mechanics を結成して、ヒット曲をいくつか放つことになりますが、ここでもRutherfordのポップな曲を書く才能の片鱗が表れているんじゃないかと思います。

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難を言えば、Phil Collinsのヴォーカルがまだこなれていないのと、3分45秒あたりからのエレピのソロが取って付けたような感じがするところで、ここをスムーズに処理できればもっとよかったのに、という個人的感想です。

 

Genesis / Wind And Wuthering

fripSide 「eternal reality」

fripSideはレールガン(TVアニメ「とある科学の超電磁砲」)シリーズのオープニング曲しか聴いたことないので、fripSideがどうこうという話はできませんが、これらの曲は、第1期の「only my railgun」をはじめとしてどれもポップでノリのいい曲で、人気があるのも頷けます。で、あくまで個人的な好みの話になりますが、これらの曲の中で一番好きなのが、2013年に放送された「とある科学の超電磁砲S」の後期OP曲「eternal reality」です。

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この曲で好きな部分というのがサビの部分で、他の曲よりも「明るい」「軽快」という印象があります。fripSideの曲の作曲はメンバーの八木沼悟志さんが手掛けているのですが、この曲では八木沼さんと小室哲哉さんの共作となっていて、おそらくサビの部分は小室さんのメロディが使用されているのではないかと思います。そんなに小室風のメロディが色濃いわけでは無いように思えますが、サビの部分、曲の最初の部分で言えば「♪ 仲間と手を繋ぎながら」の部分のフレーズがそれっぽいですね。

別に小室サウンドが好きなわけではないですが、小室哲哉風フレーズがfripSideの曲の中でいいスパイスとなっているんじゃないでしょうか。

 

fripSide / eternal reality

 

ちなみに曲の後半では、小室さんがちょっとだけヴォーカルででも参加していますが、ここは正直小室さんでなくてもいいと思っています。

茅原実里 「Paradise Lost」

2008年のTVアニメ「喰霊-零-」の主題歌「Paradise Lost」。歌っているのはアニメの主人公 神楽を演じた声優の茅原実里さん。私は茅原さんの歌をそんなに知っているわけはなくて、この曲で初めて知ったぐらいだったのですが、この曲のインパクトの強さが印象に残るフェバリットソングです。

 

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この曲のようなデジタルビートの曲はアニソンで使用されることが多くて、そういえば同じ時期にfripSideの「only my railgun」が流行っていたなあと記憶していましたが、「only my railgun」のほうは1年後の2009年のリリースだったみたいですね・・・。

作曲はアニメソングの作曲を多く手掛ける菊田大介さん。この曲ではデジタルなサウンドにストリングスのパッセージを絡めた刺激的なサウンドを作っていて、茅原さんのメタリックな感触のあるヴォーカルがこのようなサウンドによく似合っていると思います。

茅原実里 / Paradise Lost

 

茅原実里さんは現在歌手活動は休止されているようですが、最近の曲では2018年のTVアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のエンディング曲「みちしるべ」を歌っていて、「Paradise Lost」とは全く違う声を駆使した歌唱が印象的な曲でした。

Steeleye Span 「All Around My Hat」

Steeleye Spanは、Fairport Convention のベース奏者であったAshley Hutchingsが中心となって結成されたフォークロックバンドで、Hutchingsは初期の数作のアルバム発表後脱退してしまいますが、バンド自体はその後も活動を継続していて、現在もヴォーカルのMaddy Priorを中心に存続しています。

Maddy Priorは、Mike Oldfieldの4thアルバム Incantations にヴォーカリストとして参加していて、主要なヴォーカルパートを担当しており、アルバムで重要な役割を果しています。私がMaddy Priorの歌声を初めて聴いたのは、Incantations ではなくて、Mike Oldfieldのベスト盤 The Complete に収録された「Incantations Part 4」でしたが、朗々としたハイトーンヴォイスが魅力的で、Steeleye Spanのアルバムも聴いてみたいなと思っていました。

で、Steeleye Spanの作品はというと、実はベスト盤しか持っていません。当時レコード店で何度も買おうと思っていて結局買わなかったのが、1975年リリースのアルバム All Around My Hat なのですが、当時はインターネットが無い時代でしたから、全く聴いたことが無いバンドのアルバムを買うなんてのはかなり勇気が必要だったので、無難にベスト盤にしたというわけです(と言い訳しておきます)。

 

1970年代のSteeleye Spanのサウンドは、Fairport Conventionと比べるとかなりロック色(ドラムのビート感)が強く、このアルバムは全曲トラッドなのですが、ロックバンドスタイルのアレンジとなっていて聴きやすいです。(最近サブスクで聴いたので・・・)

Steeleye Span / All Around My Hat

 

タイトル曲である「All Around My Hat」もトラッドをアップテンポなブギーロック風にアレンジしていて、彼らの代表曲にもなっています。結構ノリノリで聴ける楽しい雰囲気の曲です。

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ちなみに、この曲のSteeleye Spanバージョンは、イギリスのロックバンド Status Quoがカバーしているようで、1996年のアルバム Don't Stop に収録されています。ここではMaddy Priorもゲスト参加しています。

Fairport Convention 「Farewell, Farewell」

Fairport Conventionの Liege & Lief は、私が初めて買ったブリティッシュフォークのアルバムです。1969年の作品ですが、私が買ったのはそれよりずっと後の1984年頃で、Mike Oldfieldの初期作品や Five Miles Out あたりを聴いて、トラッドやフォークに興味を持ち始めた頃だったと思います。あと、Sandy DennyのヴォーカルをLed Zepellinの曲「The Battle of Evermore」で聴いたことも彼女がメンバーだったグループであるFairport Conventionのアルバムを買って聴こうと思ったきっかけだったかもしれません。

Fairport Convention / Liege & Lief

Fairport Conventionは、現在も活動しているレジェンド的なフォークグループですが、その長い歴史の中でも名盤と呼ばれているのがこのアルバム。私が聴いたことがあるFairport Conventionのアルバムはこれだけですが、その後、他のブリティッシュフォークやトラッドに影響を受けた作品を聴くようになったきっかけとなった作品です。

アルバム収録曲は全8曲中、トラッドをアレンジしたもの5曲とオリジナル3曲で構成されていますが、どちらもエレクトリックギター、ベース、ドラム、ヴァイオリンとヴォーカルというロックバンドスタイルの演奏となっていて、トラッドとオリジナルが違和感なくブレンドされたアルバムだと思います。

ただ、トラッドを基調とした音楽なので若干取っつきにくい面があるのは確かで、私も最初聴いたときはそんな感じでした。でもこの曲「Farewell, Farewell」は、アルバム収録曲のなかでは最も短い曲ですが、親しみやすいメロディーとSandy Dennyの素朴なヴォーカルが魅力的な名曲だと思います。

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Cara Dillon 「Black Is The Colour」

Mike Oldfield のアルバム Tubular Bells III 収録曲「Man In The Rain」でリードヴォーカルを務めた Cara Dillon はアイルランド出身のフォークシンガーで、1998年当時はパートナーの Sam Lakeman とPolar Starというユニットを組んでいましたが、結局レコーディングがリリースされることはなく、レコード会社を移籍後ソロアーティストとして2001年にレコードデビューしました。

Cara Dillon / Cara Dillon

 

このアルバムの1曲目に収録されたのがこの「Black Is The Colour」。この曲は有名なトラッドで数多くのアーティストによって歌われています。このアルバムのバージョンは、Cara DillonとSam Lakemanによってアレンジされたもので、シンプルな中にも洗練された印象があります。

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彼女の作品はこのようなスローテンポの曲がほとんどで、半数以上がトラッドソングのため、変化に乏しいといえばそうなのですが、Dillonの可憐な声とLakemanによる清廉なサウンドは多くの人に受け入れられているようで、今でもアイルランドやイギリスで人気フォークシンガーの地位を確立しています。

 

ちなみに、この曲「Black Is The Colour」は日本のアーティストもカバーしていて、私の知っている範囲では、KOKIAさんと元ZABADAK上野洋子さんが取り上げています。こちらも参考までに。

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