Hergest Ridgeは、イギリスのイングランドとウェールズの国境付近の Kington という場所にあるなだらかな丘陵地です。
オールドフィールドの第2作は、このHergest Ridgeをタイトルとしたアルバムで、前作Tubular Bells 同様のアルバム1曲(Side 1/Side 2)というフォーマットで発表されました。
現在流通しているCDは、2010年にOldfield自身でミックスし直されたもので、カバ―アートもこのようなものに変更されています。
オリジナルはこちら
Mike Oldfield / Hergest Ridge (1974)
このアルバムはオリジナルのアナログLP盤のミックスとCD化される際のミックスが違っていたこともあり、マニア(ファン?)の間ではオリジナルのミックスのCD化を求める声が大きかったのですが、2010年ミックス版がリリースされる際に、2CD+DVDの3枚組のDeluxe Editionの1枚としてオリジナルのミックス版(Original 1974 Stereo Mix)がCD化されました。ただし、通常の1枚もので流通しているCDは2010 Stereo Mixだけです。ちなみにYouTubeではどちらのバージョンも聴くことができるみたいです。
というミックス違いの細かい話はここでするつもりはなく、曲の説明です。
Oldfieldの前作 Tubular Bells は、Part 1 導入部の変拍子のピアノシーケンスや、前半のクライマックス、Part 2 後半のエイトビートの「Cavemen」パート、そしてエンディングの「Sailors Hornpipe」といった彩り豊かなピースから成り立っていたのですが、本作 Hergest Ridgeはそれに比べると若干地味な印象を受けます。
けれども曲を構成する各セクションのメロディーは非常に優しく親しみやすいものになっていて、カバ―アートの風景があらわしているような牧歌的な世界での白日夢というべきサウンドとなっています。(アルバムの邦題「ハージェスト・リッジ/夢と幻の地平線」はなかなか言い当てているなあと思います)
本作で新たに導入されたのはゲストミュージシャンによるオーボエやトランペットといった管楽器の演奏で、Part 1で効果的に使用されています。またストリングスセクションも一部で使用されていて、それがこの作品の優雅さを醸し出している要素でもあると言えます。
特にPart 1のエンディング部分は、Tubular Bells のPart 1のエンディングの雰囲気をなぞったようなベースのフレーズからギター、オルガン、パーカッションが入って盛り上がっていき、最後はクワイヤーとベルの音で締めくくられる美しいセクションです。
一方で、パーカッシブな音は控えめになっていて、ロック的なドラム演奏は存在していません。従ってどちらかといえばトラッドフォークに近い作品だと考えていいと思いまます。と言いつつも、Part 2の9分過ぎから6分近くにわたって繰り広げられるディストーションの効いたエレクトリックギターによる演奏は迫力あるものになっています。
YouTubeにアップされている音源の紹介は、個人的な好みで「Original 1974 Stereo Mix」のほうをどうぞ。
ちなみにアナログ盤ジャケットの裏面はこんな感じ
ジャケット表面にも登場するIrish Wolfhoundで、名前はBootlegだそう。
ところでこのシリーズ、月1回くらいのペースで書こうと思っていましたが、よく考えると最後までやろうとすると2年くらいかかるので、ちょっとペースを上げようと思っています(独り言)。