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Mike Oldfield アルバム紹介 その3:Ommadawn

1975年発表の3rdアルバムがこのOmmadawnMike Oldfieldのファンの間では、この作品をベストに挙げる人が多いです。

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Mike Oldfield / Ommadawn

過去の2作と比較して、このアルバムで大きくフィーチャーされたのはパーカッションで、打楽器を導入したことでより強い躍動感が生まれる作品になっていると思います。特にSide 1の後半部で演奏されるアフリカンドラムはこの曲の重要部分となっており、この後のOldfieldの作品にも引き続き使用されることになります。

Side 1では冒頭に2つのメロディが演奏されますが、これがSide 1全体の主題で、同じメロディが中盤、終盤に現れる構成となっており、統一感のある曲になっていると思います。

アコースティックな楽器が主体ながらも背景にシンセストリングスを配してスペーシーな導入部からトラッド風のパートも挟みながらの展開していきます。中盤からはバーカッションをバックにした演奏が始まり、アフリカンドラムに導かれて女性ヴォーカルパートが主題のメロディーを歌い、そしてOldfieldの独特の音色のエレクトリックギターのフレーズとともに、すべての音が怒涛のように押し寄せてきて圧倒的なクライマックスを迎えるエンディングには何度聴いても感動をおぼえます。

細かいところですが、このクライマックスになだれ込むところ(15:40あたり)のベースの下降フレーズが気に入っています。

Side 2の冒頭は、Side 1のスペーシーな感触を残したパートから始まりますが、5分過ぎからアコースティックギターによる静かなパートとなり、次にバグパイプがメロディーを奏でていき、このあたりからケルト民謡の色あいが濃くなっていきます。

終盤はトラッド風のダンスのリズム(バウロンという打楽器演奏)をバックに、Oldfieldのエレクトリックギターの演奏が響き渡ります(ここもかなり感動的)。曲はここで一旦終わりますが、最後に「On Horseback」という歌をもって締めくくられます(ここは Tubular Bells のエンディングでの「Sailors Hornpipe」を意識したとのこと)。Oldfield自身のアコースティックギターの弾き語り(歌唱ではなく語り)から、徐々に様々な楽器、子供達のコーラスが重なってきて、ドリーミーなエンディングを迎えます。

「On Horseback」のコーラス部分ではこのようなことが歌われています。

      Hey and away we go
      Through the grass, across the snow
      Big brown beastie, big brown face
      I'd rather be with you than flying through space.
  (さあ、出かけよう、草原を抜けて、雪野原を渡って
   大きな茶色の顔の動物よ、私は宇宙を飛ぶことよりもおまえと一緒のほうがいい)
 
今回この記事を書くにあたって、このアルバムを何度か聴きなおしてみて気づいたことがあって、それはこの歌詞で言っている "flying through space" とはSide 1の曲のことではないかということです。そしてSide 2ではより土着的な音楽に近づいていき、最後にこの歌が歌われるという、一つのストーリーとして構成されているように感じました。
 

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↑ このYouTube動画のタイトルが"Ommadawn Pt 1"となっていますが、"Pt 2"の間違いですね・・・。