ブルガリアン・ヴォイスを取り入れた曲ということで思いついたのが、Kate Bushの「Deeper Understanding」。1989年のアルバム The Sensual World に収録されていて、2011年のアルバム Director's Cut でリメイクされていますが、Trio Bulgarkaによるコーラスが聴けるのはオリジナル版のほうです。
Kate Bush / The Sensual World
この曲「Deeper Understanding」は、家族から疎んじられ孤立した男（？）がコンピューターソフトにのめりこんでゆく様を表現したちょっと怖い作品なのですが、1989年という時期を考えるとまだまだ一部の人にしかPCは普及していない頃なので、将来を予見したようなKate Bushの洞察力にはおそれいります。
歌詞の中でコンピューターソフトは男にこう誘惑します。
"Hello, I know that you've been feeling tired, I bring you love and deeper understanding"
（ハロー、あなたはこれまでずっとうんざりしていたのね。私はあなたを愛しているし、深く理解しているわ）
この歌の世界を映像で表現したのが、2011年のリメイク版のMVです。
これ以前にKate Bushは「Experiment IV」という曲で、「音楽を使って人を殺す兵器を軍が開発する」というMVを作ったことがありますが、このMVはそれほど過激ではないにしろ似たようなテイストの映像作品です。
ちなみに、この2011年版の「Deeper Understanding」のサビの部分で、機械の声のようなヴォーカルが聴こえます。これはボーカロイドのような合成音ではなく、Vocoderを使って作ったとのことで、言葉が聞き取れるようにKateの息子のAlbertがバックで歌っています（Wikipediaによる）。
こちらはオリジナル版の音源。Trio Bulgarkaによるコーラスは最後のほうで聴くことができます。
