アルバム Discovery のレコーディングのためにスイスへ移住する前に、Oldfieldはすでに映画「The Killing Fields」のサウンドトラックの話を受けていて、曲の制作は進んでいたようです。
Mike Oldfield / The Killing Fields - Original Film Soundtrack
Pran's Theme
Requem For A City
Evacuation
Pran's Theme 2
Capture
Execution
Bad News
Pran's Departure
Worksite
The Year Zero
Blood Sucking
The Year Zero 2
Pran's Escape / The Killing Fields
The Trek
The Boy's Burial / Pran Sees The Red Cross
Good News
Etude
曲数が多いので再生リストの形でYouTubeの音源を貼っておきます。
収録曲は、Fairlight CMIをメイン楽器としてOldfield自身によって演奏されたものと、David Bedfordのアレンジによるオーケストラとクワイヤーによって演奏されたものの2種類が混在しています。当初は前者のみだったようですが、途中で映画制作サイドからオーケストラアレンジの曲が欲しいと言われたとのこと。それも、Oldfieldがスイスのスタジオでアルバム Discovery の収録曲を(機嫌よく?)レコーディングしている最中に突然ねじ込まれたような依頼だったらしく、おそらく渋々請け負った感じだったんだろうなと想像しています。
オーケストラアレンジの曲を作るために、Oldfieldは親交のあったDavid Bedfordをスイスのスタジオに呼び寄せて曲作りを行い、その後ドイツのミュンヘンへ移動して録音を行ったとのこと。アルバムのクレジットに "Recorded in England, Germany & Switzerland"とあるのはそういう事情かららしいです。
ただ、そういった事情があったといえども、アルバム全体として統一感が失われているということはないのは、過去にも共同作業を行ったことがあるお互い旧知の仲のBedfordとの共同作業によるところが大きいと思います。特に14曲目「The Trek」から最終曲「Etude」に至る流れは美しいメロディの連続で感動的です。(映画を観たせいかもしれませんが・・・)
「Etude」は映画のエンドロールで流れる曲ですが、直前にJohn Lennonの「Imagine」が使用されていて、この曲の印象のほうが強く、かなり損している曲です。スペインの作曲家 Francisco Tarrega のギター曲「アルハンブラの思い出」をFairlight CMIでアレンジした曲で、主旋律をパンパイプ風の音色で、伴奏をエスニックなパーカッション類で置き換えているのが当時は斬新に聴こえました。今聴いてもこのアレンジは素晴らしいと思います。