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Mike Oldfield アルバム紹介 その19:Guitars

前作 Tubular Bells III 発表後のBBCのインタビューで、次作はコンピューターを使わないギター演奏だけのアルバムを作ると公言していた Mike Oldfield。前作から1年も経たないうちに届けられたのは、まさしくギターだけを使って制作したアルバム Guitars でした。

Mike Oldfield / Guitars

  1. Muse
  2. Cochise
  3. Embers
  4. Summit Day
  5. Out Of Sight
  6. B.Blues
  7. Four Winds
  8. Enigmatism
  9. Out Of Mind
  10. From The Ashes

このアルバムで録音された音はすべてギターで演奏されています。アコースティックギター、エレクトリックギター、ベースギター、Rolandギターシンセ VG-8を使用して、ストリングスやドラムの音もギターアタッチメントのMIDIコンバータを通して鳴らしています。しばらくコンピューターに依存した曲制作が続いていたのでその反動かもしれませんが、打ち込み無しの生演奏による作品です。(ドラムパターンは、シーケンサを使ったみたいですが)

Oldfieldはこの時期並行して、新しいミレニアム(西暦2000年)を迎えるにあたっての記念アルバムを制作も行っていて(おそらくレコード会社の企画?)、そちらではあまりギターが弾けないということもあってのギターのみのアルバムということだったのかもしれません。

アルバム収録曲は10曲で、1曲を除いては3~5分の小品集になっています。残りの1曲は9分30秒ほどありますが、短い4つのピースを繋ぎ合わせたもので大作感は無いです。

全体的な印象から言うと、Mike Oldfieldのギター演奏が好きなファン(私もそうです)には、このアルバムは歓迎され喜ばれるアルバムです。一方で彼のファンでもない人にとっては「?」なアルバムだったんじゃないかと思います。というのは曲の完成度という意味ではイマイチで、ギター偏重のミックスやこもったドラム音など、プリプロ段階の音のように聴こえるような曲が多いです。

たぶんOldfield自身もあんまりアルバムを売るつもりはなく、半分くらいは自己満足のために作ったのではないかと思われます。

とはいえ(繰り返すようですが)、彼のギターのフレーズや音色が好きな人には十分に楽しめる作品なんですよ。

 

ブックレットの写真より。Oldfieldはフィンガーピッキング(ピックを使用しない)での演奏なので、まさしく爪弾いている様子が分かります。

 


曲紹介は、1999年7月に「Music Power」というウェブマガジン?に寄せたOldfieldの一言コメントで。。。

Muse
  "A simple track played on two guitars that has an almost Elizabethan feel."
「2本のギターで演奏された、エリザベス王朝時代の雰囲気を持っているシンプルな曲。」

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Cochise
 "This track is loosely based on the first two bars of Led Zeppelin's Whole Lotta Love ."
「この曲はレッド・ツェッペリンの『胸いっぱいの愛を』の最初の2小節をちょっとだけ下地にしているんだ。」

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Embers
 "The first track recorded for the album, using a custom made classical Spanish guitar.  The instrument is one of my most treasured possessions."
「このアルバムのために一番最初に録音した曲。カスタムメイドの古典的なスパニッシュギターを使っているんだけど、私が持っている楽器のなかでは一番高価な部類に入るだろうね。」

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Summit Day
 "Inspired by John Krakauer's best-seller Into Thin Air which dealt with a climbing tragedy on Mount Everest.  I wrote the song as a tribute and attempted to put the emotion of the final push to the summit into music."
「John Krakauerが書いたベストセラーでエヴェレスト山登山の悲劇を扱った『Into Thin Air』という本にインスパイアされた。トリビュートとしての意味もあるけど、頂上へ至るときの感情を音楽にしてみたくてこの曲を書いたんだ。」

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Out of Sight
 "A jazz, rocky riff marks an upturn in tempo for the album."
「ジャズでロックなリフで、アルバムのテンポを上げているんだ。」

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B. Blues
 "A homage to the legendary B B King."
「伝説的なブルースギタリストB.B.キングに敬意を表して。」

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Four Winds
 "Four individual pieces of music in one, named after the four winds with the music taking their characteristics."
「4つの別々のピースをひとつの曲にしたんだけど、東西南北の音楽の特徴が表れているんでこう名づけたんだよ。」

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Enigmatism
 "I played my guitar through a synth without a delay, using a midi converter,
 allowing me to produce a mysterious, spooky sound."
「遅れが発生しないMIDIコンバータを通してギターでシンセをコントロールすることで、ミステリアスで気味の悪いサウンドを作ることができた。」

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Out Of Mind
 "The penultimate track was borne out of my love of rock'n'roll. With the Rolling Stones' sound as a base, I set about recreating my own version of their style."
「私の好きなロックンロールから生まれた歌。ローリングストーンズのサウンドをベースとして、彼らのスタイルを私なりに作りなおしてみたんだ。」

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From the Ashes
 "A reprise of Embers but with an added Celtic ending."
「『Embers』のリプライズ。でもここではケルティックなエンディングを追加しているんだよ。」

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