Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

「すずめの戸締まり」観てきました

こないだの日曜日に映画「すずめの戸締まり」観てきました。

観終わっての第一印象は、新海誠監督の作風がオトナになったなあ、という感じです。

過去2作では「ボーイ・ミーツ・ガール+災害」という構図で、最終的には主人公の二人の望みをかなえるために世界を変えてしまう、という話だったのが、本作では、構図はほぼ同じでも、最終的に世界を変えてしまうのではなく、現実を受け入れたうえで心に傷を抱えた個人を肯定して背中を押してあげる(これは作品の中では対象が主人公自身ですが、視聴者へも向けられているハズ)、というポジティブな落としどころにしている点が大きく異なっています。過去作品の「セカイ系」ではなく、この作品では、外の世界(現実世界)の人々に手を差し伸べようとしているところが、オトナ感を感じさせる理由じゃないかと思います。

あと、過去の新海誠作品では必ずといっていいほど、男子目線で男子のモノローグが織り込まれていて、ちょっとウェットなイメージがあったのですが、本作では主人公を活発な女子にして、モノローグをほとんど入れずにストーリーを進める方法をとることによって、よりドライでオープンなイメージになった印象です。

個人的にはこの方向性はいいんじゃないかと思います。本作は、今後セカイ系にとどまらない幅広い新海誠ワールドへの一歩となりえる作品ではないかと思った次第です。


(PVからのスクショです)

 

ちょっと気になったのは、このポジティブなメッセージが誰にでも伝わるか?という疑問がある点です。本作の主人公の鈴芽は、幼い時に震災で母を失うという大きな心の傷を負ったにもかかわらず、引き取られた先での家族(おば)やその他周りの人々がイイ人で、暖かく迎えられて健康的に育ったからこそ、クライマックスでのあの行動となったようにも思えるのです。現実世界ではもっと辛い境遇で生きる人もいるはずで、そういった人にとっては逆に押しつけがましいメッセージになりそうな気もします。

でも、そういった点(すべての視聴者へ伝わるわけではないこと)を踏まえたうえでも、外の世界へ向けてポジティブなメッセージを発したという本作での姿勢は、おおいに受け入れたいなと思いました。

 

アニメーションとしてのクオリティの高さは相変わらずで、文句のつけようはないです。ただ最近のアニメーションの動画や背景のクオリティは他の作品でもどんどん上がっているので、以前ほどの驚きはないですね。鉄道好きな面は相変わらずで、宮崎、愛媛、神戸、東京、宮城といった主人公たちの移動先で、必ず列車が走るシーンを入れているのは突っ込みどころかもしれません。

あとオマケで言わせてもらうと、すずめちゃんを走らせすぎちゃうの?、と思うシーンがいくつかあって、見ているこっちが息が切れそうでした。