Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

Orchestral Manoeuvres in The Dark / Dazzle Ships

Orchestral Manoeuvres in The Dark(OMD)の1983年のアルバム Dazzle Ships のことは以前少しだけ取り上げました。

moonshineplus.hatenablog.com

このアルバム Dazzle Ships は、ラジオ放送や時報その他SEを大胆に導入して、曲に組み込んだり、コラージュしたもので構成した実験的な作品になっています。でもこのような実験は、このアルバム以前にも似たようなことはやっていたので、本作が特異的なものではないのですが、これ以降ラジオオリエンテッドな曲にシフトすることからも、本作が異色であることは確か。おそらくその一因としてこの作品で新たに導入したサンプリングキーボード 「Emulator」があったのではないかと思います。

Emulator はアメリカのE-mu社が開発した製品で、当時は「Emulator 1」という最初のバージョンだったようです。そのためサンプリングの品質も悪く、サンプリング時間も約2秒で、リアルな楽器音を出すのは難しかったようです。また、ミュージックワークステーションとして使用が可能だった フェアライトCMI やシンクラヴィアなどよりも安価ではあったのですが、シンセサイズ機能やシーケンス機能も搭載されていなかったので、使用範囲が限定されていたとのこと。(その後のバージョンで音質その他の機能が強化されていきました)


copyright: Matt Friedman - http://www.vintagesynth.com/emu/emulator.php

私も当時、何かのTV番組で Emulator が「すごい楽器ができた」みたいな調子で紹介されていたのを記憶しています。

 

このアルバムでEmulatorが使用されているのがWEBで言及されているのは、「Dazzle Ships」で、1分17秒あたりから入ってくる「Blue」というヴォイスがEmulatorのサンプル音らしいです。

www.youtube.com

あと、これは明確ではないですが、「ABC Auto-Industry」の「A-B-C」と「One-Two-Three」のヴォイスがピッチを上げて再生されているのは Emulator っぽいです。

www.youtube.com

 

もちろん、このアルバムには普通のヴォーカル入りのポップソングも入っています。シングルにもなった「Telegraph」や「Genetic Engineering」はヴィデオクリップも作られたリズミカルな曲です。

www.youtube.com

 

個人的には、「International」がこのアルバムでは一番好きな曲です。ゆったりとした3拍子の叙情的なメロディの曲ですが、リズムのバスドラの位置のせいで微妙にカウントが取りにくいのが面白いです。

www.youtube.com

 

オリジナルのLPジャケットは丸い穴が開いた変形ジャケットでした。以前処分してしまったので今は持ってないです・・・。

OMD / Dazzle Ships