Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

Marillion 「The Great Escape / The Last of You / Fallin’ From the Moon」

Marillion のコンセプトアルバム Brave のクライマックス部分にあたるトラック。1994年のリリース時に買ったCDの曲名リストでは、
「The Great Escape   i) The Last Of You ii) Fallin' From The Moon」
という記載だったと思うのですが、その後のリイシュー時には、
「The Great Escape / The Last of You / Fallin’ From the Moon」
と、短い3曲のメドレーであるという表記に改められています。

 

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上の動画でいうと、以下のように区切れそうです。
The Great Escape  0:00~
The Last of You  1:48~
Fallin’ From the Moon  3:34~

実は、この曲には別バージョンがあって、アナログ盤のSide 4や1998年のリマスター盤のボーナスディスクに「The Great Escape (Spiral Remake)」というタイトルで収録されています(私は後者を所有)。このバージョンでは「Fallin’ From the Moon」のパートが無く、エンディング部で再び「The Great Escape」のパートに戻る構成となっており、曲が終わると、水の音が延々と再生されています。

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Wikipediaによると、通常バージョンはある意味ハッピーエンドである終曲「Made Again」に繫がるのに対して、Spiral Remakeバージョンはバッドエンドの結末が提示されているということで、通常バージョンの最後に追加された「Fallin’ From the Moon」のパートが重要な意味をもっているようです。

 

「Fallin’ From the Moon」の歌詞はこうなっています。いろんな解釈ができそうですが、「The Great Escape」で精神的に疲弊し、自ら死に向かって進む(具体的には橋の上から飛び降りようとする)少女(=you)に対して、少女を見続けてきた私(=I)が語りかけるシーンとなっています。

Don't ask me why I'm doing this
You wouldn't understand
You're asking the wrong questions
You couldn't understand

私がどうしてこんなことをしようとしているか訊かないで
君は間違った問いかけをしているけど
きっと判りはしないだろう

A bridge is not a high place
The fifty-second floor
Icarus would know
A mountain isn't far to fall
When you've fallen from the moon

橋は(52階のように)高い場所じゃない
(太陽に翼を焼かれて海に落ちた)イカロスだって、
山に落ちるのはそう遠くないことを判っているだろう
君が月から落ちてきたときに

There's murder on the street
I'm ashes on the water now, somewhere far away
I have fallen, fallen from the moon

通りでは殺人事件が起きている
私は今、どこか遠くの水面の灰になっている
私も月から落ちてきたんだ

結局のところ「月から落ちる」とはどういう意味か、なぜ最後に「私」も月から落ちたことになるのか理解できませんでした。でも次の曲「Made Again」で「私」が目覚めたときに、「君」によって作り直されて(書き換えられて)いく世界を実感する描写がされていることから、少なくとも何らかの形で「私」と「君」は救済された、ということなんでしょう。

 

・・・などと難しいことを考えなくても、音楽を聴くだけでも抑鬱から解放に転じるイメージをつかむことが可能で、それを実感できるのがこのトラックの4分55秒付近から始まる Steve Rothery による流麗なギターソロです。このソロは本当に感動的な演奏なんですが、アルバムを最初から通しで聴いてもらうと、この感動がさらに強まるのは間違いないです。

ただ、このトラックにたどり着くまでに60分かかるのが難点ですけどね。
(私はひとつ前のトラック「Brave」で挫折することが多いです・・・)

 

Marillion / Brave