1980年代はシンセサイザーやサンプラーといった電子楽器が飛躍的に進化した影響で、シンセを主体としたサウンドによる曲作りを行うシンガーソングライターも増えてきた時代でした。
イギリスのミュージシャン Thomas Dolby もその一人。彼は、1981年のフォリナーのアルバム 4 でシンセサイザーを担当し、バンドのヒット曲となった「Waiting for a Girl Like You」で印象的な音色のシンセで曲を色付けしたことで注目されました。その後ソロデビューし、1982年にシングル「She Blind Me With Science(邦題:彼女はサイエンス)」で全米トップ10に入るヒットを放ち、一躍人気ミュージシャンとなりました。
とはいえ、ソロアーティストとしての曲がヒットした時期は短く、その後は音楽プロデューサーやソフトウェアエンジニアとしての活動のほうがメインとなっています。
この曲「Hyperactive!」は、1984年にリリースされたシングルで、「She Blind Me With Science」に次ぐヒット曲。ファンキーなリズムとギミック的なシンセによるヒット音をフィーチャーした当時流行していたサウンドと、奇妙なビデオクリップが印象的な曲です。
当時のことですからこの曲も12インチシングルによるバージョンがリリースされていて、個人的にはこちらのバージョンのほうがお気に入り。曲の長さとしては1分ほど長いだけですが、イントロ部分のヴォコーダーによる「Hyperactive」の連呼と、エンディングがフェードアウトにならず、シンセのヒット音で派手に締めるところがカッコいいです。ビデオクリップも7インチシングル用だけでなくこちらのバージョン用のものが存在しますので、こちらもご紹介。
同年リリースのアルバム The Flat Earth に収録。2024年にリリースされた"40th Anniversary Edition" には、12インチシングルバージョンも「Hyperactive! (Heavy Breather SubVersion)」 というタイトルで聴くことができます。
なおこのアルバム、「Hyperactive!」のようなポップな曲は他にはなく、比較的長めのジャズやアンビエントミュージックに通じるサウンドの曲が多く収録されていて、この曲のイメージを期待すると肩透かしなのですが、Dolbyの音楽性の幅広さを満喫できる作品となっています。