アイルランドのトラッドバンド Clannad が1987年にリリースしたアルバム Sirius は、彼らの活動の中で最もポップフィールドに近づいたサウンドを聴くことができた作品でした。
プロデューサーにGreg LadanyiとRuss Kunkelを迎え、LAを中心に活動するミュージシャンとのコラボレーションで制作されたこのアルバムは、ポップでいかにも1980年代的なサウンドが特徴で、聴きやすいものの、前作、前々作でみられたClannadらしい、奥行きのある幽玄な世界はちょっと後退した感があります。
Clannadは次作からはまた従来のサウンドに戻っていくので、本作はある意味「企画盤」みたいな感じがするのですが、個人的にはこのアルバムも結構気に入っています。
「Second Nature」はアップテンポでかなりポップな曲なのですが、シングルカットはされなかったようです。この曲ではBruce Hornsbyがゲストヴォーカルとアコーディオンで参加しているのと、LAのミュージシャン Tom Keane がトラッド楽器であるイーリアンパイプを演奏しています。他には後半のサックスでイギリス人の Mel Collins が参加していたり、80年代らしいシンセのギミックを使ったりと、あんまりClannadらしくはないのですが、ゲストミュージシャンが楽しそうにClannadとコラボしているのが聴いているほうにも伝わってきます。
Clannad / Sirius