Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

村上ユカ 「小鳥」

村上ユカさんは、手作り風テクノポップサウンドに独特なハイトーンヴォイスが魅力のシンガーソングライター。長い間、サブスクやYouTubeで聴くことができなかった村上ユカさんの過去の楽曲が、ようやく聴けるようになりました。

村上ユカさんの初期のアルバム5作品はCDで持っているのですが、1998年頃にメジャーレーベルからシングルとして発売されていた曲は今まで聴いたことがなかったのです。

そのうちの一曲がこの曲「小鳥」。

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2004年のリリースのアルバム 角砂糖 でこの曲のアレンジバージョンは聴いていたのですが、原曲を聴くことができてうれしい限りです。

 

ちなみに角砂糖 に収録されていた「小鳥 (version 2)」はこちら。ホッピー神山さん編曲によるバンド風サウンドになっています。

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村上ユカ / 小鳥 (シングル)

 

村上ユカさんの曲は他にも好きな曲があるので、いずれ紹介したいと思っています。

キーボードソロがある曲(その25):Billy Joel 「All For Leyna」

Billy Joel の1980年のアルバム Glass Houses に収録された「All For Leyna」。イギリスではシングルカットされたようです。

Billy Joel / Glass Houses

 

このアルバム Glass Houses は、前作までで築かれた「洗練されたシンガーソングライター&ピアノマン」といったイメージを払拭したい、という彼の意向に沿って制作されたロックンロールなイメージを前面に出した作品となっています。この曲「All For Leyna」もピアノの連打から始まるアップテンポなピアノロックナンバーです。

 

Billy Joelは普段はピアノを演奏しているイメージが強いのですが、この曲では珍しくシンセサイザーでソロを弾いています。下の動画では3分過ぎから始まる部分です。

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この曲のヴィデオクリップでは、ヤマハのエレクトリック・グランドとその上に置かれたオーバーハイムのOB-Xシンセサイザーを弾いているようですね。

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Lucy Rose 「Could You Help Me」

イギリスのシンガーソングライターLucy Roseが4月にリリースする5年ぶりの新作アルバム This Ain't The Way You Go Out からの先行シングル「Could You Help Me」。

 

日本では2014年TVアニメ「蟲師 続章」のオープニングテーマに彼女の曲「Shiver」が使用されたことで知られているようですが、私がLucy Roseを知ったのは数年前のことで、最初に聴いたのが前作となる2019年作アルバムの No Words Left でした。 

前作アルバム No Words Left は、フォーキーで音数が少ない静かな音空間の中でLucyさんの朴訥としたヴォーカルが際立つ作品で、個人的にもお気に入りのアルバムだったのですが、彼女から新たに届けられた曲では、過去作とは一変したサウンドを聴くことができます。

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ピアノを基本としてヒップホップ(ブレイクビーツ?)風なリズムトラックを掛け合わせたような斬新なサウンドはちょっと予想外。でも聴いているとクセになりそうな曲です。プロデュースはラッパーなどのヒップホップ系ミュージシャンの作品を多く手掛けるKwes。

Lucy Roseは前作アルバムリリース後、出産、育児とプライベートで多忙だったうえに、骨粗しょう症に起因する腰痛に苦しんだとのこと。この曲のMVでインサートされるCTスキャンの画像は彼女自身のものらしいです。そのような難局を越えて制作された作品ということで、自身の音楽もリニューアルしたということだと思われます。この曲の後にリリースされた曲「Racket」も同傾向の尖ったサウンドになっていて、アルバム全体がどうなっているのか、リリースが待たれるところです。

 

Lucy Rose / Could You Help Me (single)

 

 

ちなみにデビューアルバムに収録された「Shiver」はこんな曲です。

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こちらも参考までに私が初めて聴いたLucy Roseのアルバム No Words Left 収録の「Conversation」。これらの曲と比べると新曲の方向性の違いが明確ですね。

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Ghostly Kisses 「Golden Eyes」

カナダのシンガーソングライター Margaux Sauvé によるソロプロジェクト Ghostly Kisses が昨年11月にリリースしたシングル「Golden Eyes」。先日新曲「On & Off」がリリースされているので新曲ではないですが、今のところこの曲を愛聴しています。

 

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冒頭のヴァース部分での小鳥のさえずりのようなシンギングが美しすぎです。バックはリズムトラックとエレピ中心のサウンド。いつも通りの手堅い感じで、 ヴォーカルにフォーカスした浮遊感たっぷりの曲になっています。

曲の最後が余韻なく終わってしまうのが少し残念ですが、最近の音楽は全般的にこんな感じが多いみたいですね。

 

Ghostly Kissesは5月にニューアルバム Darkroom を発表するとアナウンスがあり、これも楽しみ。

Ghostly Kisses / Golden Eyes (single)

Fazerdaze 「Bigger」

Fazerdaze はニュージーランドのシンガーソングライター。最近YouTubeにアップされた楽曲を聴いてみて現在個人的に注目しています。

Wikipediaで調べてみると、デビューしたのは2014年と結構昔で、2017年リリースのデビューアルバム Morningside は本国ではヒットしたそうですが、その後5年ほど活動休止した時期があって2022年から活動再開したとのこと。この曲「Bigger」は昨年9月リリースの最新曲です。

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エフェクトをたっぷり掛けたギター、シンセとヴォーカルは、ドリーム・ポップの雰囲気を持った心地よいサウンド。過去の曲も聴いてみましたが、このようなサウンド傾向ではあったものの、以前はもう少しクリアなポップソングを歌っていたようです。活動再開した2022年リリースのEP Break! からはこのサウンド傾向が強くなっているようで、今後の作品も楽しみにしています。

 

EP Break! 収録のお気に入りの曲「Flood Into」。

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Fazerdaze / Bigger (Single)

Supertrampアルバム紹介 その5:Even In The Quietest Moments...

Supertrampの5作目のアルバム Even In The Quietest Moments... は、1977年4月にリリースされました。

Supertramp / Even In The Quietest Moments...

Side 1
1. Give A Little Bit
2. Lover Boy
3. Even In The Quietest Moments
4. Downstream
Side 2
1. Babaji
2. From Now On
3. Fool's Overture

 

前作 Crisis? What Crisis? のツアー終了後、バンドメンバーはロサンゼルスへ移住し、アメリカを活動拠点に決めました。おそらく前作でのアメリカでのレコーディングとツアーの反応を見ての判断だったのだと思いますが、このことが後の大ブレイクに繫がっていくことになります。

本作のレコーディングは、メンバーのRoger Hodgsonの提案で人混みから離れたコロラド州カリブー牧場のスタジオで行われました。アルバムジャケットの風景はこのスタジオ近辺の風景らしく、結構な高地でのレコーディングだったため、空気が薄いこともあってヴォーカルや管楽器の録音に難があり、最終的な仕上げはロスに戻って行われたそうです。

アルバムのプロデュースは、前作、前々作のKen Scottから離れ、バンド自身によって行われました。制作環境の変化もあるとは思いますが、本作では以前の作品で感じられた密室感は薄れ、より開放的、というか洗練されたサウンドに仕上がっています。この洗練具合というのがSupertrampのようなポップ感を前面に出すバンドにとっては良い結果をもたらすことになり、アメリカではアルバムチャートでこれまでで最高の16位を獲得(イギリスでは12位)しました。

また、本作では新たにオーバーハイムシンセサイザー(4-Voice)が導入され、その分厚いサウンドはアルバムの一部で聴くことができます。

個人的にもSupertrampのアルバムの中では一番好きな作品です。

 

Give A Little Bit
前作の「Sister Moonshine」のようにRoger Hodgsonのアコースティックギターストロークとヴォーカルから始まるポップで爽やかな曲。曲が進むにつれて徐々に他の楽器が加わっていく構成で、バンドの紹介をしているような雰囲気があります。シングルとしてもリリースされ、ビルボードのシングルチャートで15位まで上昇した Supertrampの代表曲のひとつです。

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Lover Boy
「Lover Boy」とはいわゆる「ナンパ師」のこと。Rick Daviesのピアノとヴォーカルをメインにした3連のリズムを使った跳ねるような雰囲気を持った曲。7分近い長さがありますが、5分前から一気に雰囲気が変わってエイトビートのクライマックスではHodgsonのエレクトリックギターが冴えています。

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Even In The Quietest Moments
Roger Hodgsonらしい哲学的(神秘主義的?)な歌詞で歌われるアルバムタイトル曲。鳥のさえずりとHodgson演奏の12弦ギターから始まるのですが、夢の中の情景を歌っているようなミステリアスな雰囲気を持っています。一聴すると地味な感じですが不思議と昂揚感が得られるナンバーです。

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Downstream
バンドアンサンブルで聴かせるSupertrampの曲の中では珍しいピアノ弾き語りの曲。さらにこのバンドとしては珍しいシンプルなラブソング。Rick Daviesがワンテイクで録音したものだそうですが、流麗なピアノ演奏にDaviesの渋い声が見事にマッチしています。

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Babaji
この曲もHodgsonの神秘主義の傾向が見える曲で、「Babaji」とはヨガの行者であるマハー・アヴァター・ババジのこと。ピアノ弾き語りのイントロから1コーラス目とそれ以降でテンポが若干異なっていて、これが意図的なものかわかりませんが段々早くなるのが印象的です。後半はストリングスセクションが加わってシンフォニックな展開となります。

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From Now On
Rick Daviesの流れるようなピアノ演奏で始まる曲。中盤で雰囲気が切り替わって間奏、そしてリフレインを繰り返すエンディングと続くのですが、ヴォーカルに寄り添って演奏されるJohn Helliwellのサックス演奏が素晴らしいです。

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Fool's Overture
Supertrampのレパートリーの中では3番目に長く11分近い時間で繰り広げられるのは、おそらく最もシンフォニックなナンバー(邦題は「蒼い序曲」)。ポップバンドとして知名度が上がってきた時期にこのような曲を入れてくるのはちょっと意外ですが、プログレバンドとしてスタートした彼らの意地のようなものを感じさせます。アルバムジャケットのピアノに置かれた譜面にもこの曲のタイトルが書かれていることから、バンドのこの曲に懸ける思いが伝わってきます。

最初は静かなピアノ演奏で始まり、シンセがカウンターメロディを奏でた後で急にSEが入り、その後でシンセとストリングスキーボードによる特徴的なメインフレーズに切り替わり、サックスソロに導かれてようやくHodgsonのヴォーカルが始まる(ここまで曲開始から5分間)というドラマチックな場面転換を見せます。ヴォーカルパートが終わると再びSE(風の音と「聖地エルサレム」のクワイヤー)となり、最後はメインフレーズを圧倒的な迫力のアンサンブルで再び繰り返して終わります。Supertrampの名曲の一つといっていいと思います。

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バンドのオフィシャルYouTubeチャンネルで観ることができる「Fool's Overture」の1979年のライブ映像。ステージ向かって左手には、前からエレピ(ウーリッツァー)、グランドピアノ、その後ろに一段上がったところにオルガンとシンセ、右手にはストリングスキーボード(ソリーナ?)、中央にはシンセ(オーバーハイム)が置かれており、DaviesとHodgsonとHelliwellが曲中で場所を移動して演奏しているのが分かります。こういうところがこのバンドのユニークな面と言っていいでしょう。

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Camel 「Long Goodbyes」

Camelの1984年のアルバム Stationary Traveller からの曲を紹介するのはこれが3回目です。

moonshineplus.hatenablog.com

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今回はアルバム最後を飾る「Long Goodbyes」。このアルバムを最後にバンドは(レコード会社との裁判などで)約7年間の活動休止期間に入ってしまうので、まさに「長いお別れ」を告げる曲でもあるのが何とも感慨深いです。

バンドリーダーでギタリストのAndy Latimerは、Camelの曲で美麗なギターソロを数多く披露していますが、この曲でも感傷的なヴォーカルパートが終わった後で抜群に美しいギターソロを聴くことができます。

下の音源の3:40くらいからギターソロが始まりますが、この曲は最初から(可能ならば歌詞を追って)じっくり味わいたい名曲だと思います。私の大好きな曲です。

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Long good-byes, make me so sad.
I have to leave right now.
And though I hate to go, I know it's for the better.
Long good-byes, make me so sad.
Forgive my leaving now.
You know I'll miss you so and days we spent together.

 

スタジオ録音版のヴォーカルはChris Rainbowですが、下のライブ盤ではベース奏者のColin Bassがリードヴォーカルを務めています。このライブバージョンではLatimerのソロが一旦終わった後で再度ソロが入るところが感動的です。

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Camel / Stationary Traveller