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Barclay James Harvest 「Kiev」

Barclay James Harvest (以下 BJH)のWEBサイトには、彼らの作品全曲の歌詞とコメントが掲載されています。

これによれば、1987年のアルバム Face To Face に収録されたこの曲は、1986年に起きたウクライナ(当時はソビエト連邦)のチェルノブイリ原発事故にインスパイアされた曲で、多数の犠牲者と放射線物質による汚染がもたらされたこの地域の罪もない住民への哀悼の歌ということです。(以下原文抜粋)

Les was inspired by the Chernobyl disaster in April 1986, when an accident at a nuclear power station in the then Soviet Union killed many and contaminated a wide area of the Ukraine, close to Kiev. The song is a lament for the people of the area, who were innocent victims.

www.bjharvest.co.uk

 

Barclay James Harvest / Face To Face

BJHは、1979年のアルバム XII でも、冷戦時代の当時、壁によって東西に分断されたベルリンをテーマにした「Berlin」を歌い、ドイツの多くの人々の支持を得ましたが、このアルバム Face To Face 発表後には、ベルリンの壁の東側(東ドイツ)で西側のアーティストとしては初めてのライブを開催しました。

このようにこのバンドはその時々の社会情勢に呼応した曲を発表してきた経緯があり、この曲「Kiev」もそのような流れで制作されたのだと思われます。でも歌の内容としては、政治的なメッセージではなく友愛をテーマとしたものとなっている点は、このバンドならではのスタンスが感じられます。

 

www.youtube.com

曲を聴くと気づくのですが、この曲のサビの部分や間奏部のベースラインは、Procol Harumの「A Whiter Shade Of Pale(邦題:青い影)」によく似ています。BJHは過去の曲でも、Moody Bluesの「Night In White Satin」をモチーフにした曲を発表したりしているので、この曲もおそらくオマージュになっているのではないかと思います。