Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

Gypsyfingers 「The Waves」

Mike Oldfieldがアルバム Five Miles Out を録音したスタジオは、ロンドン中心部から北西へ車で1時間ほど行ったDenham(デナム)という場所に位置しています。このスタジオはMike Oldfield専用のレコーディングスタジオとして1981年に創設され、現在はそばを通る小道の名称にちなんで「Tilehouse Studio」という名前になっていますが、現在、このスタジオを管理・運営しているのは、Mike Oldfieldの3人目の子供のLuke Oldfieldです。

Google Mapより引用

 

このTilehouse Studioを、Luke Oldfield自身が紹介(宣伝?)している動画がYouTubeにアップされています。

アナログ方式専門のレコーディングスタジオというのが売りみたいです。動画の中ではアコースティック楽器とヴィンテージ楽器が多数置いてあるのが見れます。父親のMike Oldfieldは最新のデジタル楽器や録音機器を進んで取り入れていったのですが、それとは正反対のアナログ専門というところに、彼なりのこだわりを感じますね。

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Luke Oldfieldは、Tilehouse Studioのレコーディングエンジニアであるとともにミュージシャン(父親と同様にギタリスト)でもあり、現在は、キーボード奏者でヴォーカリストのVictoria Coghlanとユニット "Gypsyfingers" を結成して音楽活動をしています。

 

Gypsyfingersの音楽は、自己のバイオで「psychedelic & cinematic folk-rock band」として紹介している通り、ドリーミーなフォークロックを指向しています。流行りのサウンドとはかけ離れているので一般受けするものではないですが、ちょっと懐かしい感じのする独創的なポップスだと思います。

アルバムはこれまで2作発表されていて、2018年の Stranger Things が現時点では最新のアルバムとなっています。

Gypsyfingers / Stranger Things

収録曲の多くはVictoria Coghlanの作品で、リードヴォーカルも彼女が担当していて、これがこのユニットの個性となっています。彼女のヴォーカルはクラシカルで透き通った歌声で、伝統的なブリティッシュフォークシンガーの流れを汲んだスタイルだと思います。サウンド面はプロデュース兼エンジニアのLuke Oldfieldの手腕によるところが大きいと思いますが、Victroiaの曲やヴォーカルに沿った形の、1970年代のブリティッシュフォークロックの色合いが濃いものとなっています。Lukeは、演奏面では主にギタリストの役割を担っていて、一部自身作の曲ではリードヴォーカルも取っています。

 

アルバム収録の曲「The Waves」のMVです。

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アルバムのカバ―アートにもあった動物のマスクをかぶった登場人物の映像とともに、Gypsyfingersの演奏シーンを見ることができますが、ライブではベーシストとドラマーを加えた四人編成で演奏しているようです。バンド編成の演奏にストリングス系のサウンドが添えられた形のシンプルな曲で、Victoria Coghlanの美しいヴォーカルが際立っています。Luke Oldfieldはアコギとエレキギターを使い分けていて、後半ではエレキギターでのソロを聴くことができます。ちなみにドラマーの右後ろに置いてある鍵盤はスタジオにも置いてあったメロトロンですね。

 

ブリティッシュフォークの女性ヴォーカルが好き、という人へはおすすめできる作品です。