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個人的に好きな曲たちについて書いています。

Electric Light Orchestra 「21st Century Man」

「コンセプトアルバム」という形のアルバム制作方法は、ビートルズの1967年のアルバム Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band あたりが起源と言われています。その後プログレッシブ・ロックの流行もあって、1970年代にはコンセプトアルバムが多く制作されました。その後1980年代以降、ポップソングの聴かれ方がシングル曲主体となっていくにつれ下火になっている状況かなと思います。

先日紹介したピンク・フロイドの「Another Brick In The Wall」が収録された The Wall もそんなコンセプトアルバムの最たるものなのですが、Electric Light Orchestra(以下ELO)が1981年に発表したアルバム Time も完成度の高いコンセプトアルバムでした。

Electric Light Orchestra / Time

ELOといえば、それまでは生のストリングスセクションをフィーチャーしたサウンドが売りだったのですが、バンドリーダーのJeff Lynnは、本作から生のストリングスを排除し、シンセサイザーを主体としたポップを指向するようになりました。これには賛否両論あったようですが、この後のELOのサウンドがよりコンパクトでシンプルなサウンドになっていくことを考えると、自然な流れだったように思います。とはいえ当時の若い世代のシンセポップバンドが台頭してきた時期に似たようなスタイルのサウンドになったことで、ELOならではの独自性が薄れてしまったのは否めません。

 

でも、アルバム収録の楽曲はどれもポップで捨て曲無しの曲が並んでいます。「Prologue」に続く「Twilight」は日本でも人気の曲ですね。欧米では「Eplogue」の前の曲「Hold On Tight」がシングルヒットしました。ちなみにこの「Hold On Tight」はレコード会社からシングル向きのロックンロールナンバーを入れるよう要請があったため、後から追加した曲だそうで、他の曲は次の曲へとクロスフェードでシームレスに繋がっているのに対して「Hold On Tight」だけは独立して存在して、全体の流れからちょっと浮いています。

つまり、本来ならエンディングの「Eplogue」の前の曲は、この曲「21st Century Man」だったわけで、そう考えて「Hold On Tight」を飛ばして聴くと、なるほどよりまとまりがあるような気がします。

 

「21st Century Man」はアルバムの「Prologue」と「Epilogue」でも使用されているメロディを持つ曲で、アルバムの主題といってもいい曲です。タイムトラベルをテーマにしたアルバムの雰囲気を上手く表現したノスタルジックなメロディにモダンなサウンドを融合させた名曲だと個人的には思っています。

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と、今回1曲をピックアップしてしまいましたが、Time はコンセプトアルバムなのでできればアルバム通して聴いてもらいたい作品です。