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Mike Oldfield アルバム紹介 その21:Tres Lunas

Mike Oldfield / Tres Lunas

 

2002年にリリースされたアルバム Tres Lunas 。前作 The Millennium BellWarner Music UKとの契約が終了した Mike Oldfield が新たに契約したのは Warner Music Spain でした。何でスペイン?という気がしますが、この時期Oldfieldの人気は本国イギリスよりもスペインのほうが高かったという事情があったのだと思います。

このアルバムがリリースされる1年以上前から、「マイクがPCゲームを作っている」という情報が伝わってきていて、ファンサイトの中ではゲームで使用される予定の音源らしきものが共有されていたりしました。でもファンの多くはOldfieldが作るゲームに期待している人は少なく、それよりも「ちゃんと音楽作品を作ってくれ」と思っていたんじゃないかと思います。

でも、Mike Oldfieldはコンピュータを使った映像作品(ビデオクリップ)を1980年代中頃から制作してきているので、CGを使ったゲーム(作品)というのは、本人にとっては長年の念願だったんだろうと推察します。まあ、PCゲームを個人の思い付きで作ってしまうというのは、ある意味金持ちの道楽と言われそうではありますが・・・。

 

そういうわけでリリースされたアルバム Tres Lunas には、オマケとして「Music VR」という名前のPCアドベンチャーゲームのCD-ROMが付属していました。ただしこのCD-ROMは試用版であって、完全版は別途購入が必要だったと記憶しています。ちなみにゲームのクオリティについてはここでは特に書くことはありません。

<トラックリスト>
   01. Misty
   02. No Mans Land
   03. Return To The Origin
   04. Landfall
   05. Viper
   06. Turtle Island
   07. To Be Free
   08. Fire Fly
   09. Tres Lunas
   10. Daydream
   11. Thou Art In Heaven
   12. Sirius
   13. No Mans Land (Reprise)

アルバムリリース時の宣伝文句は「チルアウトミュージックに挑戦したアルバム」というものであったと思います。収録された曲は総じてゆったりとしたテンポで、打ち込みによるバッキングトラックに、Oldfieldのギターやピアノが旋律を乗せているといった感じの曲がほとんどで、正直このアルバムを聴いて感動を覚えるといったことは無かったように思います。まあチルアウトを目指したアルバムなので、そういった感動を期待するのがおかしいのかも知れません。

ということで今回は全曲にコメントを付けるのはちょっと難しいので、ポイントとなる曲のみにコメントする形です。

 

01. Misty
後半に出てくるサックスソロは、ギターシンセで演奏しているものらしく、本人曰く「サクソフォンギター」なのだそう。音色だけでなく音の強弱などでリアルなサウンドを奏でています。

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02. No Mans Land
ギターの音色やフレーズはいかにもOldfieldらしいもので、過去のアルバム The Songs Of Distant Earth に入っていそうな曲。

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03. Return To The Origin
「振り出しに戻る」というタイトルの曲。様々な音色のギターが散りばめられています。後半ではまた「サクソフォンギター」をフィーチャー。

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04. Landfall

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05. Viper
Oldfieldのギターは後半のみで登場。エンディングの女性スキャットは、Tubular Bells III にも参加していた Amar によるもののようです。

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06. Turtle Island
序盤はアコースティックギターが美しいです。中盤以降エレクトリックギターが重なっていくのOldfield らしいのですが、エンディングがイマイチかな? バッキングトラックは無くてもよさそう。

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07. To Be Free
アルバム唯一の歌詞付きのヴォーカル曲。歌っているのはイギリスのセッションシンガー Jude Sim。ヴィデオクリップで歌っている人がその人なのかは不明です。ポップな曲だと思うのですが、イマイチ Oldfield らしさが感じられないのが残念。ギターもフィーチャーされていないのでよりそう思うのかもしれません。この曲、ボーナストラックとしてシングルバージョンも収録されているのですが、個人的にはアルバムバージョンのほうがお気に入りです。

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ヴィデオクリップではPCゲーム「Music VR」のシーンの一部が使用されています。

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08. Fire Fly

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09. Tres Lunas
アルバムのタイトルトラック。タイトル名は「3つの月」という意味のスペイン語で、スペインのファンへのアピールが感じられます。これも淡々とした曲ですが、中盤以降、途中にピアノで Tubular Bells の冒頭の旋律の一部が顔をのぞかせています。(これもファンサービス?)

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10. Daydream
ピアノとエレクトリックギターによる小品。この曲のような機械的なリズムが入らないほうがOldfieldらしいと思ってしまいます。

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11. Thou Art In Heaven
Sally Oldfield によるヴォイスから始まるこの曲は、2000年のカウントダウン後にベルリンで演奏された「Berlin 2000」を大幅にアレンジしたものです。「Thou Art In Heaven」とは古い英語で「You Are In Heaven」という意味になるようです。ここで展開される重厚なサウンドは、アルバム中で最もドラマチックなものとなっています。

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12. Sirius
ゲームのBGMを思わせるようなサウンドコラージュから始まる曲。ただその後は特段盛り上がることもなく流れて行ってしまう感じ。

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13. No Mans Land (Reprise)
リプライズという形を取りつつも、ギターソロとサクソフォンギターのアンサンブルとなっている曲。前々作 Guitars の曲の雰囲気もあります。

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