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Mike Oldfield アルバム紹介 その25:Man On The Rocks

Mike Oldfieldが「ロックアルバム」の制作に着手していることは、2012年の夏ごろにはファンサイトであるTubular.netなどで知ることができました。情報によると、「打ち込みではないリアルなギター、ドラム、ヴォーカル、ハモンドオルガンを使ったアルバムになる」ということで、過去のアルバム Discovery のような流麗なポップソング集になるのでは?、と個人的には勝手に期待していました。

彼自身によるデモが完成したのが2012年末頃だったらしいのですが、アルバムとしてリリースされたのは、それから1年以上経った2014年の春でした。これには、新作アルバムと並行して、以前より取り組んでいたVirgin時代のカタログのリイシュープロジェクトを行っていたためと思われます。また、南国バハマへ移住したこともあって、音楽活動自体がゆるやかになっていたのかも知れません。

 

そうして完成したOldfieldの新作アルバム Man On The Rocks は、私の期待とはちょっと違う、結構骨太なロックサウンドが全編に満たされたアルバムでした。

Mike Oldfield / Man On The Rocks

 

アルバム収録の11曲が全て歌入りの曲で、リードヴォーカルを務めたのは、アルバムデビュー前のイギリスの若手ロックバンド The Struts のヴォーカリスト Luke Spiller。 彼がヴォーカリストに決まるまでに、Oldfieldは何人かのヴォーカリストを試したらしいですが、最終的に決まったのがSpillarだったとのこと。確かに若々しくて歌の上手いヴォーカリストだとは思いますが、過去の作品のようにいろいろなヴォーカリストを入れて欲しかったのが正直なところです。

ベース、ドラム、キーボードはいずれもアメリカのセッションミュージシャンが起用されています。ドラムのJohn Robinsonは Tubular Bells II でもドラムを担当していました。

Mike Oldfieldと共にプロデュースを担当したのはStephen Lipson。この人はジェフ・ベックアニー・レノックスらの作品も手掛けてきた実績のある人ですね。

サウンド全体のイメージは、1970年代のロック(今でいうところの「クラシックロック」)で、あちこちに当時のフレーズが聴こえてくるような感じで、これがOldfield自身が本作でやりたかったことなんだろうなというのがよく判ります。ただどこかで聴いたようなフレーズやリフが多いので、個々の曲の魅力が少々乏しいかなというのが個人的な印象です。Oldfield自身のギターソロはふんだんに聴くことができて、その点では嬉しいのですが、全般的にもうひとひねり欲しかったところです。

 

<トラックリスト>
1. Sailing
2. Moonshine
3. Man On The Rocks
4. Castaway
5. Minutes
6. Dreaming In The Wind
7. Nuclear
8. Chariots
9. Following The Angels
10. Irene
11. I Give Myself Away

 

アルバムの歌詞カードには、各曲ずつにOldfieldの一言コメントが記載されているので、これを併せて紹介していきます。

1. Sailing
A song about being out of the ocean waves. A bit Pirates of the Caribbean!

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「Moonlight Shadow」を若干意識したようにも思える軽快なフォークロック風の曲。

 

2. Moonshine
About a jaunt to the west coast of Ireland in the 1980s with my band members, thinking of the irish that made it to America.  
(1980年代にバンドメンバーとアイルランドの西海岸へ旅行に行った時の思い出。アメリへの移民達に想いを馳せて)

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ケルティックなフレーズを活かしたサウンドが素敵な曲。後半のギターソロもいい感じです。個人的にはこのアルバムの中では一番好きな曲です。この曲の原曲は、アルバム The Songs of the Distant Earth からのシングル「Hibernaculum」のカップリングとして収録されていた「The Songs of The Boatmen」という曲。この原曲も小品ながら美しいサウンドのインストナンバーです。

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3. Man On The Rocks
About addictions and a way out of them.
(依存症とそこから抜ける道)

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アルバムタイトル曲。Luke Spillarが雄大に歌い上げるドラマチックなバラードナンバーです。

 

4. Castaway
Childhood memories of fighting in the home and the fear of a child.
(子供時代の家でのケンカと子供への恐怖)

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3分40秒過ぎから延々と続くOldfiledのギターソロが聴きどころ。

 

5. Minutes
About missing the ones you love.
愛する人たちがいなくなることについて)

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トラッド風のイントロがフーターズっぽいなと思ってしまいました。

 

6. Dreaming In The Wind
About releasing the ashes of a person I never met on a small island in the Exumas.
バハマのイグズーマにある小島での会ったことが無い人の散骨について)

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7. Nuclear
About emotional suffering.
(感情的な苦しみについて)

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Mike Oldfieldの祖父をテーマにした歌とのこと。哀愁漂うこの曲は「Metal Gear Solid」というゲームでも使用されたそうで、そのゲームでこの曲を知ったプレイヤーもいるとか。ちなみにサビの部分のギターフレーズが、どことなくキング・クリムゾンの「エピタフ」風なのはご愛敬?

 

8. Chariots
About the trials of a relationship gone wrong.
(上手くいかなくなった関係の試練について)

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9. Following The Angels
My take on the Olympics Opening Ceremony, London 2012.
ロンドンオリンピックの開会式セレモニーに関する見解)

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オリンピックの開会式セレモニーへの出演・演奏は、Oldfieldにとって非常に誇らしいものだったんだろうということが良く伝わってくるような、高揚感を感じさせる曲。Oldfieldらしいメロディが印象的です。

 

10. Irene
About Hurricane Irene, 2011. A Category 3 storm, the edge of eye came over Nassau. It was wild. 

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Rolling Stonesのキース・リチャーズっぽいギターリフが、ある意味新鮮ではありますね。

 

11. I Give Myself Away
Worship song written by William McDowell.
(William McDowellによる礼拝の歌)

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アメリカのゴスペルシンガー William McDowell の曲のカバー。原曲はこんな感じです。

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