Moonshine+

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King Crimson 「Starless」

Emerson Lake & Palmer、Pink FloydGenesis、YesそしてKing Crimsonの5つバンドはひっくるめて「英国5大プログレバンド」と呼ばれています。なぜ「5大」なのかというと単純で、1970年代初期のプログレッシヴロックのブームにおいて人気があったから(イギリスだけではなくアメリカでもビジネスとして成功したから)なのですが、ブームが下火となった1970年代中期にはどのバンドも転機を迎えます。活動休止やソロ活動の時期に入ったりとか(ELP、Yes)、主要メンバーが脱退したりとか(Genesis)の危機を迎えて、でもバンドを存続させようと様々な試行錯誤を行い始めた時期が1974年ごろ。そんな中、King Crimsonのリーダー Rober Fripp はアルバム Red のリリース日直前にバンドの解散を宣言します。

 

King Crimson / Red

King Crimsonが他の4バンドと異なるのは、このバンドがRobert Fripp個人のものだったということが挙げられます。デビュー以来Fripp自身が求める音楽を作るため、バンドメンバーをどんどん入れ替えて作品を作っていたことからもそれが分かると思います。

アルバム Red をもってバンドを解散するということもおそらくFripp自身が決めたことで、「バンドの解散」というインパクトのあるイベントを行うことで、King Crimsonというバンドストーリーを「演出」していたともいえると思っています。Frippはその後もKing Crimsonの再結成と解散を繰り返していくことになりますが、そのたびに異なるコンセプトを掲げてメディアで注目を集める手法を取っている点からみて、Frippはかなりの商売上手だったんじゃないでしょうか?

 

前置きが長くなりました。「Starless」はアルバム Red のラストに収録された曲。名曲として人気の高い曲でもありますが、この曲はこれまでのKing Crimsonの集大成ともいえる曲となっています。イントロからメロトロンの荘厳な響きに乗せたFrippのギター、そしてJohn Wettonによる朗々としたヴォーカルはバンド初期のサウンドを彷彿させ、中盤以降の演奏主体になる部分では、Larks' Tongues in Aspic 以降のヘヴィネスを兼ね備えた激しいサウンドが続き、終盤には序盤のフレーズに戻って大団円を迎えるという構成で、バンドそしてプログレッシヴロックの終焉を演出するかのようなこの曲は、おそらくFrippがバンドの解散を念頭に置いてアルバムの最後に配したのだと思います。

 

Fripp、WettonそしてBill Brufordというメンバー3人以外にゲストとして招かれたMel CollinsとIan McDonaldの2人の旧バンドメンバーによるサックス演奏も印象的です。

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