カナダの3人組ロックバンド Rush が1991年に発表したアルバム Roll The Bones のタイトルトラック。この曲はちょっと異色です。というのも曲中にラップが取り入れられているからなのですが、まさかハード&プログレッシヴロックバンドであるRushがラップを取り込むとは当時予想もしませんでした。
そのせいか、このアルバム自身、ファンの評価はイマイチのようです。次作である Conterparts でのパワフルなサウンドからすると線が細いという点で見劣りするのかもしれませんが、個人的にはこのアルバムは嫌いじゃないです。というかかなり好きなアルバムかも。
Rush / Roll The Bones
アルバムは、前作 Presto 同様、バンドとRupert Hineの共同プロデュースで制作されました。Rushは、ライブでの再現性を考慮して、ベースギターとキーボードを担当するGeddy Leeがキーボードを演奏する際にはベースペダルを使用していました。ところが前作からはレコーディングでのベースペダルの使用をやめ、ベースはLee自身のベースギターで演奏する形に変更しています。シンセは引き続き使用していますが、シーケンサーのプログラミングによる演奏に変ってきているようで、こういった点でシンセ奏者であるRupert Hineによるサポートがあったのだと思われます。
Geddy Leeがベース演奏に専念できることがサウンドにも反映されていて、より躍動感のあるバンドアンサンブルが表現できるようになった点が、個人的には気に入っているところで、次作以降顕著になるヘヴィな音とは違ったシャープなサウンドがこのアルバムの魅力だと思っています。
先に書いたように、この曲「Roll The Bones」は中間部にラップパートが挿入されています。ラップの歌唱は当初外部のラッパー等の使用を検討したようですが、最終的にはヴォーカルのLeeがラップパートを担当することに。Lee本来のハイトーンの声とは異なる低い声のラップは、様々なエフェクトを掛けることで実現したとのことです。
ラップパートはドラムマシーンとシンセベースの演奏なのですが、それ以外の部分では、Leeのベース、Alex Lifesonのギター、そしてNeil Peartのドラムいずれも整合がとれたアンサンブルの中でも演奏はめっちゃカッコイイ曲なのです。