1977年に発表された Billy Joel のアルバム The Stranger は、世界的なヒット作となりました。日本でも1978年にタイトル曲がソニーのCM曲として使用され、多くの人に Billy Joel の名前を知らしめることとなりました。本国アメリカでは「Just The Way You Are(邦題:素顔のままで)」がシングルヒットし、グラミー賞の最優秀シングルという栄誉を授与されました。
このようにこのアルバムでブレイクしたのは、プロデューサーとして起用されたPhil Ramone(フィル・ラモーン)の手腕によるものが大きかったようです。Joel自身のバンドによる演奏をベースにしつつ、ジャズ/フュージョン畑のミュージシャンの演奏を加えることで、都会的で洗練されたカラーを打ち出したことがリスナーに大きく受け入れられた要因だったと思います。(個人的には次作 52nd Street のほうが好きですが。)
この曲「Just The Way You Are」で、Phil Ramoneが取り入れたのが10ccの「I'm Not In Love」のフェイザーを掛けたエレクトリックピアノとテープループによるコーラスの手法だったそうです。10ccの曲との繋がりがあるとは意外でしたが、それだけ「I'm Not In Love」が画期的なサウンドだったのだと再確認しました。確かにこの曲を改めて聴いてみるとどこか「I'm Not In Love」の雰囲気が漂っていますね。「I'm Not In Love」のような頭がクラクラするような効果ではなく、控えめに拝借しているような感じですが、この曲独得のサウンドに一役買っていると思います。
Warner Music 在籍時代、つまり Tubular Bells II (1992) から Tubular Bells 2003 (2003)までの期間のオリジナルアルバム未収録曲です。この時期リリースされたシングルには、多くのリミックスバージョンが収録されましたが、それらはOldfieldファンが求めているものとは程遠いダンスミックスがほとんどで非常に残念なんですが(個人差あり)、そういう個人的に好きでないリミックス曲は除いて紹介していきます。
Early Stages 「Sentinel」のカップリング曲として収録されたこの曲は、Tubular Bells II 制作の初期段階でTrevor Hornが関与する前のアルバム導入部分の音源とのこと。原曲である Tubular Bells の導入部に近い印象で、ピアノシーケンスの7+8の変拍子も残っています。
The Spectral Army The Song of The Boatmen この2曲は アルバム The Songs of Distant Earth からのシングル「Hibernaculum」にカップリングとして入っていた曲。実はこのシングルCDは持ってなくて、昔、神戸三宮のせいでんで置いていたのを見つけて、そのうち買おうと思っていたらいつのまにか無くなっていたという残念な思い出があります。 「The Spectral Army」は、バグパイプ風の音色のノスタルジックなメロディが素敵な曲。「The Song of The Boatmen」は浮遊感のあるシンセサウンドに導かれて、シンプルなメロディを奏でるOldfieldのギターが美しい曲。どちらも3分に満たない小品です。
Indian Lake これもアルバム The Songs of Distant Earth からのシングルCD「Let There Be Light」のカップリング曲。優しい印象のメロディを3回繰り返すだけの曲ですが、3回目のOldfield独特の音色のギターが素晴らしい。「The Spectral Army」「The Song of The Boatmen」「Indian Lake」はいずれも同時期に作られたものと思われますが、Oldfieldらしい歌心を感じさせる曲でどれもお気に入りです。
Women of Ireland [Lurker Edit] この曲はアルバム Voyager に収録された同名曲をダンスミュージック風にリミックスしたもの。1997年のベストアルバムの発表に併せてリリースされたもののようです。リミックスしたのは Henry Jackman と George Schillingというミュージシャン/エンジニア。Henry Jackman はアルバム Voyager でもプログラマーとしてクレジットされていますが、現在は映画音楽の作曲家として活躍しているようです。原曲の雰囲気を壊さないようなアレンジで、コンパクトでダンサブルなリミックスとなっていて意外と聴きやすいです。
Mike’s Reel 「Women of Ireland [Lurker Edit]」のカップリング曲ですが、曲名のとおり、アイリッシュダンス風の曲。打ち込みやシンセがメインのこの時期のOldfieldの作品の中では珍しいアコースティック楽器によるアンサンブルになっていて新鮮です。
Tubular X 1998年にリリースされた映画版「X-Files」のサントラのヨーロッパ盤に収録された曲(日本盤にも収録されたようです)。X-Filesの音楽プロデューサーであるMark Snowが、X-Filesの有名なテーマにTubular Bellsの導入部を組み込んだもので、Oldfieldがこの曲にどこまで関与したかは不明です。
このアルバム、後半の5曲は「The Turn of A Friendly Card」という組曲形式の曲になっていますが、どの曲もポップで聴きやすいものとなっていて、いわゆる「プログレ」とは異なります。もちろんオーケストラを導入したりシンフォニックな要素があるので、当時アメリカでは「シネマティックロック」というふうに呼ばれていたらしいです。
2010年以降にまた少しだけDTM環境を整えだしたのですが、音源はやはりVSTプラグインで主にフリーウェアを入れています。でも過去のMIDIデータを再現するために互換性のあるソフトが欲しくなって、Rolandの SoundCanvas VA を購入しました。あとは3年前くらいに IK Multimediaの Sample Tank 4 SE ってソフトもPCに入れています。音色は大量に入っているんですが、逆に欲しい音色を探すのが大変で、フルバージョンではないので意外と欲しい音が無かったりして、こちらは少々持て余し気味ですね。
2000年にリリースされたアルバム The Hour Before Dawn はSolasの4作目のアルバム。このアルバムからリードヴォーカルがKaran Casey からDeirdre Scanlan に交代しています。(脱退した Karan Casey は、現在もアイリッシュフォークシンガーとして人気のようです)
Solas / The Hour Before Dawn
このアルバムでは、収録された13曲中の大半がトラッド曲をアレンジしたもので、完全なオリジナル曲は2曲のみとトラッド寄りの作品となっています。今回紹介する「I Will Remember You」は数少ないオリジナル曲の一つ。バンドリーダーでマルチ奏者のSeamus EaganとシンガーソングライターのSarah Mclachlanとの共作となっています。Mclachlanが歌ったバージョンは映画「マクマレン兄弟(The Brothers McMullen)」のサウンドトラックとして制作され、1995年にシングルとしてリリースされているのでこちらのほうが有名かも。