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Emerson Lake & Palmer 「Karn Evil 9: 1st Impression」

Emerson Lake & Palmer(以下ELP)は、キーボードのKeith Emerson、ベース/ギター/ヴォーカルのGreg Lake、そしてドラムのCarl Palmerによるロックトリオとして1970年代を中心に活躍したバンドでした。

当時はロックの中心的な楽器はギターで、トリオ編成でバンドを組むにしてもギター、ベース、ドラムの構成にするのが普通だったのですが、ELPはギターではなくキーボードの異色のトリオとなっていて、それだけEmersonの実力、人気が髙かったことが窺えます。

事実、彼らの曲ではキーボード(ピアノ、オルガン、シンセ)の占める部分が大きくて、リードパートとバッキングパートの演奏をEmerson一人で担っていることも多く、これをライブで再現することを考慮しながらレコーディングしていたことを考えながら、当時のアルバムを聴いてみると改めてスゴイと思います。もちろんLakeとPalmerの演奏技術もあっての、あの華やかで分厚いサウンドだとは思いますが。

 

この曲「Karn Evil 9: 1st Impression(邦題:悪の教典#9 第1印象)」は、1973年にリリースされたELPの5作目のアルバム Brain Salad Surgery(邦題:恐怖の頭脳改革)に収録された曲で、当時はアナログ盤のSide 1とSide 2にまたがって、それぞれPart 1、Part 2という形で収録されました。

Emerson Lake & Palmer / Brain Salad Surgery

「Karn Evil 9」は1st Impressionから3rd Impressionまでの三部構成となった組曲で、トータル29分30秒に渡る大作なのですが、それぞれの「Impression」は曲のモチーフが共通しているわけではなく別々の曲と考えていいと思います。2ndはジャズ、3rdはクラシカルなシンフォニーの感触があるのに対して、この1stはスリリングなロックンロールのイメージが強く、一部ホンキートンク的なフレーズを交えたりして結構ノリノリで聴けたりします。

Emersonは冒頭からハモンドオルガンを弾きまくっていて、その傍らでシンセサイザーを効果的なリード楽器として使用しています。Lakeは基本ベースを弾いていますが、途中7分あたりからエレクトリックギターに持ち換えてギターソロを披露していて、その間はEmersonがオルガンでベースラインを担当しています。

このLakeのギターソロ自体もかっこいいのですが、正直この曲でLakeのギターを入れる必要性はあんまりないような(Emersonのソロでもいいような)気がします。Lakeはこのアルバムでプロデュースも担当していたこともあり、「ここでオレのギターを入れさせろ」みたいなワガママが入ったのかもしれません(勝手な推測デス)。

 

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この「Karn Evil 9」は続く第2印象、第3印象も素晴らしい出来で、ELPの最高傑作という言葉がふさわしいと思います。この後ELPは、3年半ほどのブランクを置いて次のスタジオ録音作 Works Volume 1 を発表しますが、このアルバムで見せた驚異的な集中力、密度に及ぶ作品は作ることはできなかったようです。