Moonshine+

個人的に好きな曲たちについて書いています。

Styx 「Babe」

1980年前後のアメリカのポップシーンというのは、ディスコブームもやや落ち着いてきて、イギリスのニューウェーブ勢の進出もまだこれからという状況でした(あくまで個人の印象です)。そんな中リスナーに受け入れられたのがソフトロック系の音楽やロックバンドによるバラードだったように思います。

このブログで紹介しているスーパートランプもその部類に入るのでしょうが、前回紹介したアンブロージアのようなアメリカ出身のプログレハードを基調としたサウンドでスタートしたバンドが、この時期バラード曲でのシングルヒットを放つようになってきました。

甘美なメロディと壮大に盛り上がるアレンジは、その後の「産業ロック」と呼ばれるジャンルとして確立されていきます。産業ロックという呼び方は否定的な含みがあるのですが、当時洋楽初心者の私としては非常にとっつきやすいジャンルで、個人的には概ね好意的に受け止めていました。

 

Styxの1979年のアルバム Cornerstone に収録された曲「Babe」は、美しいメロディと力強いハーモニー、そして華麗なアンサンブルが特徴のパワーバラードです。

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作者はバンドのメインライターでキーボード奏者のDennis DeYoung。元々はバンドの為に書かれたものではなかったらしいのですが、他のメンバーがアルバムに入れることを強く推奨したのだそう。甘いメロディに乗せて歌われるのは、恋人?に向けて、離れていても愛しているよと呼びかける歌。Wikipediaによれば、DeYoungが妻の為に作った曲とのこと。バンドでのライブツアーに明け暮れる生活の中で、離れて暮らす妻に贈るだったのかなと思ったりします。

この曲で印象的なのはイントロのエレピでしょうか。フェイザーをたっぷり掛けて左右に揺らぐエレピの音色が気持いいです。中盤以降はシンセのアルペジオとシンセストリングスを交えてドラマチックに展開するところは、プログレハードロックバンドとしての要素が少しだけ垣間見れます。

 

当時のライブ映像はこちら。

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Styxは二人のギタリストを擁したバンドで、分厚いギターサウンドも特徴でした。特に日本では1976年から加入したギター/ヴォーカル担当のTommy Shawが人気でした。このアルバム収録の Shaw作でヴォーカルの「Boat On The River」が日本ではシングル発売されたりしてましたね。

 

Styx / Cornerstone