King Crimson のリーダー Robert Fripp が1979年に発表したソロアルバム Exposure 収録の曲。Frippは、1974年にKing Crimsonの活動を停止してから、Brian Enoとのアンビエントミュージックの制作や、David Bowie、Daryl Hall、Peter Gabriel、The Rochesらのアルバムレコーディング参加やプロデュースを行ってきましたが、このアルバムは、これらの交流で得られた人脈を活かして、多彩なミュージシャンとのコラボレーションによって制作された作品でした。
アンビエント系のインスト曲とパンクロックを強く意識したような激しいロック曲が入り混じったこのアルバムは、万人受けするものではないものの、この後復活する80年代型 King Crimson の足掛かりとなった作品のようにも思えます。
Peter Garbriel がリードヴォーカルを担当するこの曲「Here Comes The Flood」はGabrielのファーストソロアルバムに収録されている名曲なのですが、Gabriel は、自身のアルバムに収録されたシンフォニックなバージョンは自分の意図しているサウンドとは異なっていると思っていたそうで、FrippとEnoとのコラボレーションで制作したこのバージョンが自分の意図していたものに一番近いとコメントしているようです。
Gabriel自身が弾くピアノの背後に薄く色づけられた、Eno演奏のシンセサイザーとFrippのフリッパートロニクス(彼が開発したオープンリールの録再機を改造したエフェクトデバイスのこと)によって静謐な音世界が展開されています。
Robert Fripp / Exposure
ちなみにこちらがGabrielのソロアルバムに収録されたオリジナルバージョン。オーケストラを導入してドラマチックなサウンドになっています。個人的にはこちらも悪くないと思っています。
1990年リリースのGabrielのベストアルバムでは、Frippのアルバムに収録されたバージョンに近いピアノ弾き語りバージョンとなっています。その後のライブバージョンでもこの曲は弾き語りで披露されているようですね。