Yesのキーボード奏者といえば、やっぱりRick Wakeman。Wakeman在籍時のYesのアルバムでは数多くの魅力的なキーボード演奏を聴くことができますが、1978年のアルバム Tormato に収録されたこの曲「Don't Kill The Whale (邦題:クジラに愛を)」もその一つ。
アルバムのクレジットを見てみると、このアルバムでWakemanが主に使用していた楽器は、「ポリモーグ」と「バイロトロン」という名前が目に入ります。
ポリモーグシンセサイザーは、1975年ごろに発売された71鍵のフルポリフォニックのアナログシンセでしたが、プリセットの音色を加工するタイプのシンセで、自由な音作りはできなかったようです。
もう一方のバイロトロンは、メロトロンと同様の楽器音を録音したテープを再生するしくみのアナログサンプラーで、ループテープを使うことで発音時間の制限(約8秒)がなくなったという利点があり、Wakemanもその開発に出資したとのことですが、開発した会社(バイロトロニクス社)が倒産したことで、一般に発売されることが無かった幻の楽器として知られています。
この曲「Don't Kill The Whale」でのWakemanのソロは、下の音源でいうと2分2秒から約30秒間。左右のチャンネルで鳴っているのはどちらもポリモーグの音のようです。ソロの最初の部分でベンドダウンする音はクジラの鳴き声を模したものでしょう。
この曲はヴィデオクリップが制作されたようで、YouTubeでも観ることができますが、ここでWakemanが弾くキーボードのうち、向かって右側がバイロトロン、左側がポリモーグだと思われます。
Yes / Tormato